1番の親友 ・ 甘月 桜 は小さい頃から人をいじることが好きだった。中学生になってから " いじる " から " いじめ " に変わった。でも、私は止めなかった。
怖かったからだ。
1番の親友なのに、怖い なんておかしいよね。
嫌われたらどうしようって思うなんて変だよね。
分かってる、自分でも。
私は一緒に桜が決めたターゲットをいじめた。
多少の罪悪感はあった。心の中で何度も謝った。
高校生になって1週間経った頃、桜が
と言った。
また始まった、と思った。
1ヶ月間、実に苦しかった。
桜のいじめ方は中学のときより酷かった。
体操服を切り裂いて。と言われて頷くことは出来なかった。
桜は私に体操服を渡した。
信じてるよ、なんて言われたら、小さい頃と変わらない笑みを見せられたら、断ることなんて出来なかった。
1ヶ月が経つと桜はいじめるのをやめた。
それと同時に私をいじめ始めた。
私は体育倉庫に閉じ込められた。
外から鍵をかけられ、出ることは不可能だった。
桜の言う通りにしてきたのに。
私のこと、信頼してたんじゃないの?
心の中では沢山喋っているのに声には出なかった。
1時間経った頃だろうか。
愛叶がドアを開けてくれた。
涙が溢れてきた。
その様子をみて愛叶はハンカチを渡してくれた。
嬉しかった。
愛叶と同じく1ヶ月間いじめられた。
1ヶ月が経つと桜は私の頭を撫でて
と謝った。
許すことは出来なかった。
何て、嘘だ。
桜は もうしない と約束してくれた。
それからは何事もなく過ぎた。
高校2年生になって、桜とクラスが離れた。
桜のクラスはどうなっているのだろうか。
気になったけど、いじめはもうしないと約束してくれたから大丈夫だろう。
と、思っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。