杏が違う世界へ行ってしまった。
私は杏をコロしたんだ。苦しめたんだ。
霧音と約束したのに、人をいじめてしまった。
最低だ、私。
杏がいなくなった日は沢山泣いた。
今だって、思い出したら泣いてしまう。
あの時、杏は天使のように舞った。
とても、綺麗だった。美しかった。
杏は笑顔だった。
笑っていたんだ。
私に酷い事されて、苦しかったはずなのに。
ごめんね、杏
〜 ♪
携帯が鳴った。
誰だろう、と思い携帯を手に取り画面を開く。
愛叶からだった。
私は電話を切った。
私が初めての友達だったんだ。
私のこと好きだったんだ。
涙が溢れだした。
ごめんね、杏。
苦しめたよね、傷つけたよね。
心も身体もボロボロにズタズタにしたよね。
でもね、私も好きだった。
杏のこと。
ううん。
今も大好き。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。