あれ、今日って私の誕生日か
と、あなたはキリトの言葉で思った
そろそろ12時を周りそうな時間ではあるけれども
「黒崎くんはもっと素晴らしい女性と綺麗な夜景を観ながらこうゆうことするんだと思ってたんだけどなあ」
あの、キリトのことだ。キリトにお似合いな女性を高級そうなレストランに連れてって
外をブラブラと散歩した後に綺麗な夜景を後ろに言うのかと。
「ごめん。今から連れてっても良いんだけど、流石に疲れるかと思って」
「まず、私は綺麗な女性じゃない。今じゃ、正反対だし」
あなたは自分の格好を見ながら、そして自分の部屋を見ながら言った
「この薔薇を受け取ってくれるなら、無くはない未来だと思うよ?」
「だよねー、、、」
遠い目で呟くとキリトはクスクスと笑い始めた。
笑うのを止めると部屋に長い沈黙が降って、キリトはあなたの返答を待った
こんなに時間が長いと思ったのは初めてかもしれないな。
と、思いながら
「せめて、こんな格好でこれは受け取りたくなかった、、、」
と、あなたは視線を逸らしながら言うと
キリトの薔薇を受け取った
「後悔しても知らないからね?」
「後悔なんてさせないさ。
むしろ、世界一幸せ者にするよ」
「絶対に手放さないから」
「手放したらもう1度貰ってくれるまで俺が手放さないから。覚悟してね?」
お互い笑いながら、自然と顔が近づいた
二月某日あと3分で日付が変わる頃
2人は口付けを交わし
白井あなたが黒崎キリトのものになった日
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!