夜になり有岡は寝てしまった。
「寝ちゃった……」
伊野尾「ね、帰ろ?…僕落ち着かない…」
「どうやってこの部屋からでるんですか?」
伊野尾「おいで…こっち…」
「あ、はい…」
伊野尾はトコトコと歩いてきたあなたをぎゅっと抱いた。
そしてこめかみ辺りにあるぷくっと膨らんでいるところを押した。
押した途端ぱっと有岡の部屋からいなくなり奴隷の國へと帰った。
「最初からそれで帰ればいいじゃないですか…」
伊野尾「──帰りずらかったから…」
「まぁ、それは思いましたけど…」
伊野尾「──ね、もう飽きたでしょ?奴隷の國」
「嫌っ…別に…」
伊野尾「時間早めてあげる…」
「え?……」
伊野尾は2017年から2023年に早めた。
あなたは後1年でこの奴隷の國から帰ることができる。
でもあなたは帰りたくなかった。
その理由は…、
「時間は早めても、絶対に伊野尾さんを生き返らせます」
伊野尾「──ほぇっ?」
「伊野尾さん、もう一度人生やり直してください!」
伊野尾「──…」
「一緒に生きてください…」
伊野尾「──僕は、奴隷の國の國に絶対居ないといけな……
「伊野尾さん…!!!、私には大貴もいるし幸せです…
でも大貴だって伊野尾さんの事が好きなんですよ?
同じ会社でずっと一緒に働いてきたじゃないんですか?
大貴とまた一緒に働きたくないんですか?
死んだままでいいんですか?
本当にその人生で幸せですか?
もっと生きたいって思わないんですか?
私、伊野尾さんの事を幸せにできると思うんです!
だから…絶対生き返らせます…」
伊野尾「──あなた…」
伊野尾はあなたの事を強く抱きしめた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。