僕は、寝る前に必ずすることがある。
それは日記だ。
この日記は毎日つけている。
〇月〇日
最近、不安に思っていることを書く。
というよりか、自分が情けなくて仕方ないと思うことだ。
僕のクラスには1人悲しみと格闘している子がいる。
大きな哀、沢山の怖。
僕は強がっているあの子の本当の気持ちを知っている。
いつも楽しくなさそうに誰ともコミュニケーションを取らずに、あの子は生きている。あの子は無愛想だと。そう、みんなは思っている。
だが、本当は違う。
彼女は怯えている。怖がっている。悲しんでいる。
それを分かっているのは僕だけなのに、それなのに僕は軋轢に目を瞑ってしまう。
臆病者なのだ。弱虫で勇気がないやつだ。
こんな自分が嫌だ。黙って見ているだけの僕が。
無頓着なあの子が傘をさしたら、それで救われるくらい単純だと思っている彼女のことを助けてやれない僕が。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。