これはまだ私が中学生の頃
違う
違う
違う
何で嘘のことをそんなにみんな信じるのか
中学生になって一週間もするとそんな噂ばかり流れ始めた
同じ小学校出身の男子が言いふらしたのだ
しかも両親の他界の理由は適当に。
両親が居ないだけで陰口を言われる
わざとらしく笑って面と向かって聞いてくる
周りの生徒もくすくす笑って。
私は無視して廊下に出た
いつものように人気のいない廊下に移動すると私はその場に座り込んだ
昼休みなのにここはいつも静か
1人になりたい時はいつもここに来る
気づけば空は茜色に染まっている
……いいか、中学生何て義務教育だから何とか進級できるし
下駄箱まで行くと私はまた固まった
……靴がない
漫画にありそうないじめ方しかできないのかな
休み時間に来たまたあの女の子たちだ
今度は人が3人から5人に増えてる
髪を引っ張られて団体に連れて行かれたところはプールだった
まだ4月だと言うのにもう掃除がしてあり水も入っててきれいになっている
サイドに連れて行かれ膝たちをさせられた
……まさか
そのまま顔をプールの中に入れられた
耳が篭った感覚
10秒くらい埋められ顔を上げられる
無視しただけでかの仕打ちなのか…
それと同時に背中を押され思い切りプールに飛び込んだ
ドボンッ───────
水の中にいてもあの子達がキャハキャハ笑って出ていった音が聞こえた
上がろう……
そう思ったとき、足がピキッとした瞬間痛くなった
つ、つった………!!!!
なんでこのタイミングでつるの!!マンガか!!!
やばい焦れば焦るほど上に上がらなくて息が苦しくなってきた
このまま溺れて死ぬのかな
お父さんとお母さんに会えるならそれもいいのかな
あーあ。短い人生だったな……
目を閉じた時浅い意識の中で誰かに腕を掴まれ一瞬でプールから顔を出せた
それだけ聞こえて私は目を瞑った
目が覚めると保健室にいて先生に事情を話しあの子達は保護者を呼ばれ転校を余儀なくされた
私とあの子達がプールに行くのを見かけた2人は可笑しいと思い追いかけてきたらしい
それから凛佳と幼なじみくんは私と話してくれるようになった─────
貴方たちの事だよ
あのとき、助けてくれなかったら私は死んでいたかもしれない
あのとき、話しかけてくれなかったら1人だったかもしれない
この2人は命の恩人だ
そして…
大事な、親友──────
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番外編を読んで頂きありがとうございます!
まだ番外編はあと1話書きますので宜しくお願い致します☺
それと新連載『秘密主義な彼に一目惚れしました。』を書いたのでそちらもどうぞ宜しくお願いします…!
風-ふう-
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。