蒼依先輩は一言でいうと  我慢強い


初めて話したときは上から目線な人だなと思った、でも今は違う


高幡先輩みたいにしっかりしてて我慢強くてお菓子好きで、ちゃんとした女子



蒼依先輩は過去に何かあってツライ経験をしてきたんだろう

自分の教室に戻る途中他のクラスのやつが誰かを指差していた


また振り返って見てみると指差している目的の人は蒼依先輩だった

1年の間でも名前を知られている黒木先輩や高幡先輩、それに蒼依先輩は美男美女と言う奴が増えてきている


確かに高幡先輩は可愛い、笑顔に一目惚れした


でも高幡先輩への想いはしっかり諦めがついて今は恋じゃなく人として好き

……は？


ヤッてる…？


高校生になったオレはそれが何を意味しているのかくらいわかった

ゲラゲラ笑って階段を降りていった2人組


…まぁ今のが本当だとしても別に何て思わない


高校生だからそういうのはあっていいと思うし、いやダメなのか？


蒼依先輩がやりたいようにすればいい、助けてほしいといえば助ける

助けてって1言に先輩は重みを感じているのかあまり言ってくれない

次の授業は2年と文化祭準備


今日はもう次の時間から文化祭まで一日中準備に入る


今朝行ったばかりの2年の教室。
こんな性格だから2年の先輩たちにも顔を覚えられた


弘也と並んで2年の教室に足を向けた

何で分かるんだよ


別に好きってわけじゃない


ただ気になる女の子

ニヤッと口角を上げた弘也は2年の教室について 失礼します と言いながら入っていく


調子狂う

先輩の方を見るとヒラヒラと小さくて華奢な手を俺に向かって振っている

棒飴がたくさん入った袋から1つ出すと俺の差し出してくる


俺の好きないつものパイナップル味

だいじょーぶ。と言って指をVの形にした


お菓子が主食って感じか


……どっち選ぶだろ

即答すぎてびっくりした…

笑ったあと舌を出してアメを舐める先輩

脳裏に浮かんだ言葉


今目の前にいるこの人が色んな人とヤッている


噂だけで本当かは分からないけど


でもなんでかイライラする


俺には関係ないのに

つい出た言葉


どうしたんだ俺


先輩も不思議そうに俺を見ている

指定された席に座ろうとすると蒼依先輩は立って俺の腕を掴んだ


そして強引に自分の方を引っ張ると華奢な手で俺の頭を撫でた

子供扱いされてるみたいだ


子供なんだけど

チャイムが鳴り2年2組の担任と1年2組の担任が入ってきて授業が始まった

みんな一斉に立って俺も蒼依先輩と高幡先輩の所へ行こうと席を立つと前から肩を掴まれグッと力を入れられるとまた俺は椅子に座った



下を向いてて誰がやったか分からなかったが フワッ と甘い香りがしてそれだけでわかった

隣には高幡先輩と黒木先輩


弘也は隣の席

近くの机と椅子を集めて班を作ると俺の左隣に座った



向かいには黒木先輩と高幡先輩、弘也はみんなに向かい合う形に


座っている黒木先輩と目があった

言い返せないのが悔しい

高幡先輩に掛かると黒木先輩も負けてしまう


これぞ彼女の力

ちょっとしたこの俺の考えでも蒼依先輩や黒木先輩は気付いてくれる


それがすげー嬉しい


黒木先輩を心から憎めねぇし本当は尊敬している


それに蒼依先輩は俺の一番仲の良い女の先輩


蒼依先輩の事で考えていたのにそんなのはもうどうでも良くて吹き飛んだ


今は隣にいる先輩を見よう

こういうやり取りが楽しくて仕方ない

まじでこの4人最高すぎる


この4人とは一生繋がっていたい

隣を見ると本当に嬉しそうに笑っていた


あ、やばい

…俺、案外恋に落ちやすいタイプ？