第33話

三橋 蒼依✱過去・小学生編 完
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2018/01/09 12:17
蒼依
親戚の家…?

いきなり職員が集まる部屋へ呼ばれ行くと職員から告げられた
職員
そう、蒼依ちゃんと住みたいって蒼依ちゃんの親戚の人から連絡が来たの

蒼依を引き取ってくれる親戚が見つかった


親戚と言っても遠縁だ
職員
明後日には一緒に住みたいそうなんだけど蒼依ちゃんの意見を聞きたいな
蒼依
住みます

即答で答えた


問題児扱いされているこんな所から出たかったから
職員
分かった、ならお相手さんに連絡するね
蒼依
(優しい人かな…)



翌々日、約束の時間になると男女の大人が児童養護施設に来た


20代後半で柚依よりも若かった


ほんとに遠縁かと疑ったが小学生の蒼依にはよく分からなかった


この2人が蒼依の両親代わりになる
蒼依母
よろしくね蒼依ちゃん
蒼依父
よろしくな

これでまた幸せが来る


そう思った蒼依


母親になる女性に手を繋がれ繋ぎ返す


職員に挨拶をすると新しい両親と共に児童養護施設を出た
蒼依父
蒼依ちゃんは今日から名字が〝三橋〟に変わるからな

唯一両親との繋がりだった名字


蒼依にとってそれは繋がりが無くなってしまう事だった


それでも子供で逆らえない
蒼依
…はい

〝三橋 蒼依〟


新しい名前。


帰る途中優しく話しかけてくれる義母と義父


家に着くと以前住んでいた本当の家とは違う外装


とても知らない家
蒼依母
ここよ、入って

これでまた新しい幸せがくる


そう思った時玄関に入った瞬間繋がられていた手は離れ隣からは何か違う気配がした
蒼依
あ___
蒼依母

話しかけないで

蒼依
……え……

思いがけない言葉に玄関で体が固まった


父親になる人もさっきの笑顔は無くなってため息をして自室へ入っていってしまった
蒼依母
はぁ…引き取り先が見つからないからって押し付けられて最悪…
いい?貴方はこの家族が幸せに見せるための道具。
わかった?これから必要以上に話しかけてこないでね

いきなり言われた事に蒼依は追いつかなかった


義母は蒼依の荷物を廊下に放り投げる
蒼依母
あ。
部屋だけは用意してあげたから、2階の左

それだけを言い残しリビングに入っていった
蒼依
(…何で)

動かない足を無理やり動かし説明された自室に行き扉を開けると机とベッドが用意されているだけのシンプルな部屋


白で統一されている


ベッドに寝転がり目を瞑るとすぐに蒼一と柚依の顔が浮かんだ


大好きな両親
蒼依
(お父さん…お母さん…)



いつの間にか寝ていて起きた蒼依は空腹になっていた


ベッドから降りて1階に行くとリビングからテレビの音が聞こえる


リビングの扉を開けると義母が床に座ってテレビを見ている
蒼依
あの…

話しかけても無視をされる
蒼依
お腹…空きました…
蒼依母
そんなのあるわけ無いでしょ
食べたいなら自分で買うか作って。

流石に食べ物はくれると思っていたが予想外の答えに呆然とする


お金は無く何か作ろうと思うにも料理なんて作れなかった


児童養護施設でも食事はくれた


児童養護施設の方がマシだったと思った蒼依






三橋蒼依になった時普通体重だったが低体重に変わった___

※ 過去・小学生編完でも最終回ではありません。

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