第55話

◊*゚見守ってて ◊*゚
561
2018/03/19 14:59
彰都
ここから遠いの?
蒼依
歩いて15分くらいかな
それより荷物持たせちゃってごめんね

手桶とひしゃく、それに花まで彰都くんが持ってくれている


私は線香やライターが入った袋だけ
彰都
大丈夫、重くないし

お墓までの道は人が少ないから花を持ってもあまり目立たない


そして歩いて15分あるくとお墓についた


駐車場には車が1台もない


それもそうだ、クリスマスイブにお墓参りに来るなんて私くらい
蒼依
ここでお水汲んでいこう

水道があってそこで手桶に水を入れていくことに


蛇口を捻ると水が勢い良く出てきた


すぐに満たんになって持っていこうとすると無言で彰都くんが持ってくれた


水も入れ終わってお母さんたちのお墓の前についた


『泡宮家之墓』そう書かれている
蒼依
さて、お花交換しよう
彰都
うん

既に飾っているお花を取り出して中のお水を取り替える






彰都くんも手伝ってくれて20分もすると一通り終わった


蒼依
ふ〜、ありがとう彰都くん
助かった
彰都
大丈夫、手伝えて良かった

お線香をまだ上げてなく今からだ


1本から3本と本数を決めて上げる人もいるけど私は1束あげている


今年も同じでお線香を決められた場所に置こうとすると彰都くんに名前を呼ばれた
彰都
1本ちょうだい
蒼依

うん

いつものようにライターでお線香に火を香炉に置くと彰都くんも1本を香炉に置いた


手を合わせてお互い目を閉じる


その瞬間いつも思い出す


楽しかったあの時間


お父さんと一緒に食べたお菓子にお母さんに褒められた日


あの日私が迎えに行こう何て言わなかったらきっと両親は生きていただろう


今でも後悔する


前に進まなきゃ


三橋家は正直言ってあまり好きじゃない、小学生の頃は部屋でたくさん泣いたし眠れなかった日もある、ご飯を食べない日も


それでも中学生になって変わった、凛佳と幼馴染くんが変えてくれた


ねぇお母さん、お父さん、凛佳は優しくて料理上手で私のために泣いてくれた日もあった自慢の親友でお母さんに似てる


幼馴染くんは凛佳大好きで何だかんだ心配してくれてる


それと___
彰都
先輩

目を開けて隣を見ると先に終わっていた彼が私を見た
彰都
泣かないで

そう言うと本人も気づいてなかった涙を拭ってくれた
蒼依
うん…
彰都
先輩、今からめっちゃ恥ずかしいこと言うけど笑うなよ…

ん?


恥ずかしいこと?


本人は1呼吸すると私と目を合わせたあとお墓に目を向けた


彰都
初めまして、蒼依先輩とお付き合いさせて頂いてます滝瀬彰都です。



……ええええ?!


ま、まさかの挨拶?!


え、ちょ、この子育ち良すぎる!!


礼儀正しい…!
彰都
俺は最初違う人が好きでした、でもすぐにフラレて落ち込んだ時蒼依先輩が励ましてくれました。
今思えばいざって時1番に励ましてくれるのは蒼依先輩です

…そんなの、私だっていつも助けてくれるのは彰都くんだ

彰都
日が経つうちにいつの間にか先輩の事好きになって今では大好きで、大切な人です
年下の俺が相手にされるわけ無いって最初は諦めてたけど、諦めきれなくて逆に好きって気持ちが増していきました
彰都
まだ高1のガキが何言ってんだって話何ですけど…
それでもこんなに誰かを好きになったのは初めてでこんな俺でもどうかこれからもずっと蒼依先輩と一緒にいさせてください

拭ってくれた涙がまた出そうになる


それでも我慢してわたしもお父さんとお母さんに向かって言葉を発した
蒼依
お母さんとお父さんが居なくなってひとりぼっちになって泣いてばかりだったけど今はもう凛佳や幼馴染くん、それに彰都くんがいる
それに私の中でお父さんとお母さんが居てくれる

もう会えなくても話せなくても私の中ではまだ存在し続ける
蒼依
前に進むから、大好きな人たちと前に進むから見守っててね
蒼依
私は今、幸せで大丈夫だから心配しないで

言いたい事を言い終わって彰都くんと目が合う


かと思いきや下を向いて手で顔を隠してる
蒼依
どうしたの?
彰都
めちゃくちゃ恥ずい……

さっきまで堂々と言ってたのに今はこうやって顔を赤くしている


ギャップ萌えだ。うん。
蒼依
帰ろう、彰都くん
幼馴染くんは凛佳大好きで何だかんだ心配してくれてる、それと___
彰都
うん



大好きな、彰都くんがいる___

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