第45話

◊*゚予想外 ◊*゚
603
2018/02/10 10:09
彰都
は?!
弘也
だから先輩たちが大学生くらいの人に絡まれてた

トイレから戻ってきた弘也が言った


絡まれてるって…!
っ…!

黒木先輩が走って廊下に出ていったのを後についていった


弘也何で助けねぇんだよ!!


人混みの中を掻き分けて更衣室に向かうと廊下で仮装をしている2人を見つけた


男3人組に囲まれていて手首を掴まれている
蒼依
__から…せ……ょ……!
彰都
蒼依せん___!!
蒼依


だから離せって言ってんでしょ!!!






手を伸ばして助けようとしたその時__





彰都
ぱ…い……?

次の瞬間蒼依先輩が大学生くらいの人の股間を思い切り膝で蹴っていた


……うそだろ……


男たちはその場にへたり込みうずくまっている

え、走って助けようとしてきた俺達の立場は……?


か弱いと思っていた蒼依先輩はそれほどか弱くなかった
おい赤ずきんが股間蹴ったぞ……
顔可愛いけどやる事えげつねぇ……
痛そう……
………お前の好きなやつすげぇな
周りの人がヒソヒソと話している


気のせいか周りの何人かは自分の股間を手で覆わせて守っている


何ともシュールな光景だ


ちなみに俺も同じ男としてあそこを蹴られた痛みには少し同情をした
彰都
……ですね……
大学生3
っつ…!!
そして俺は心の中で誓った


〝蒼依先輩を怒らせないようにしよう__〟 と。

男たちが立ち上がろうとしてきた


や、やばいこれ本格的に起き上がったら今以上の騒ぎになる
彰都
蒼依先輩!

先輩に近づいて手首を掴んだ
蒼依
え、彰都くん?!
彰都
行きますよ!!!

高幡先輩は黒木先輩に任せて俺と蒼依先輩は思い切り足を動かし走った


後ろから男の声が聞こえたがそれを無視して階段を下り渡り廊下を走る


全速で走って体育館の2階の観覧席に行った


ここはどのクラスも出し物に使っていないから生徒と先生しか入れない


床に座って身を隠す
蒼依
ま、撒いた…?
彰都
っすね…

俺以上に息切れをして呼吸を整わせている蒼依先輩
彰都
すみません俺の全速で疲れましたよね
蒼依
だ、大丈夫…

さっきまでの勢いが嘘かのようにか弱く見える


5分もすると正常に呼吸に戻ってきた
彰都
びっくりしましたよ
助けようと思ったら予想外の事して
蒼依
早く撒ける方法考えたらあれしか思いつかなくて

少し恥ずかしそうにしている
蒼依
でもまさか彰都くんに見られてるとは…

恥ずかしそうにしたあと俺の顔を見るとぎこちなく笑った
彰都
ああいうの慣れてるんですか?
蒼依
え、男の人のあそこ蹴ったのは初めてだよ?!
彰都
違う違う、その…ナンパ的な…

ああ!と納得をする蒼依先輩


少し考えて、
蒼依
ん〜……まぁ……

ま、慣れてるよな
蒼依
あ!でも___
__…!?

あ、その驚いて顔を赤くしているの可愛い


驚くだろうな、なんたって今俺は蒼依先輩に顔を近づけている
蒼依
な、ななな何で近づいて…!

床に座りながらも器用に後ろに下がる蒼依先輩


下がりきって壁と背中がくっついた


俺と壁に挟まれている先輩
彰都
ねぇ、先輩

騒がしい1階




騒がしい心臓
蒼依
な、に……

華奢な腕に可愛らしい声




赤くなって頭の中俺でいっぱいにさせたい
蒼依
彰都く___
職員
おーーいそこに誰かいるのかーー
蒼依
っ!!
彰都
っ!?

先生の声がしてお互いの口を手で覆った


あれ、もしかしてここ今日は入っちゃいけない所?
職員
可笑しいな。声聞こえた気がするんだが……

しばらくして先生は1階へおりていった


っぶねぇ……


同じく危ない……という顔をしている先輩
彰都
少し休憩したら行きましょうか
蒼依
そうだね…っ

俺に追い詰められてからまだ頭の整理がついてないのか下を向いている


余裕が無くなっている姿も可愛いと思ってしまう
彰都
…先輩って
蒼依
へ?!
彰都
先輩って好きな人…いますか?

……あ。この顔いるんだ


今そいつの事思い出して赤くしてんの?


先輩は少しすると小さく首を縦に振った
彰都
…ムカつく…
蒼依
え___

俺は咄嗟になぜかその華奢な腕を引いて蒼依先輩を抱きしめた






……俺の事好きになってよ、先輩___

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