第42話

◊*゚寝言 ◊*゚
588
2018/01/30 08:26

PK戦が始まって1番目は3年生の先輩


キックを行う人だけがゴール前に立ってゴールキーパーと1対1になる


彰都くんたちは後ろで待機している


ボールを足元に置いて助走をするために後ろに下がって少しの間止まっていると助走を始めた


ボールに向かって走り右足を上げてボールに当てるとその衝撃でボールはゴールに向かっていく


それはゴールキーパーの手ギリギリを通り見事に決まった


先輩と後ろに待機している人たちはガッツポーズをする


私もホッとしたがそれもまた緊張に戻った


次は相手のキックだ




蒼依
2-0…!

あと1回ゴールを決めれば彰都くんたちの勝ちになる


次は誰だろうと見るとまさかの彰都くんだった


責任重大で緊張してるはず


私はただ見てることしか出来ない
蒼依
頑張れ…

両手を握ると気のせいか彰都くんと目が合ったような気がする


凛佳も幼馴染くんもそれを感じたようだったので私の勘違いでは無いらしい


練習試合でこの緊張感なら本番はどれだけ緊張するだろうか

彰都くんがボールを安定させ1番目だった先輩と同じように助走をするために後ろに下がった


私は大きく空気を吸い込み両手を口元に持っていき、
蒼依
彰都くん頑張れ!!

その言葉に反応した気がした



おめでと
彰都
あざっす!!

練習試合が終わって午後5時


その場で解散となりサッカーの顧問の先生や片付けが終わると彰都くんが私達の元に帰ってきた


約束してないのにこうして4人で帰れる事って何て幸せな事なんだろう


ここに弘也くんが居れば完璧だ


幼馴染くんにお祝いされたあと私の顔を見た
彰都
最後の。ちゃんと聞こえました
蒼依
…!
わ、忘れて…

あまり大声を出さない私にとっては珍しく大きな声で彰都くんを応援した


大声を出したことではなくしっかり聞こえてた事に少し恥ずかしさを覚えた


応援だから聞こえてもいいんだけどさ…
彰都
すっげー嬉しかった
蒼依
そっか…
彰都
照れてる?
蒼依
照れてない!!
あ〜、ここ暑いな〜!!

何て見苦しい言い訳をしてみるも彼は笑っている


調子くるう…


凛佳に声をかけられ私達は駅に向かった


彰都くんが私の隣に並んで凛佳と幼馴染くんが前にいるときふと思った


もし、もしもだよ?可能性はわからないよ?


もし、彰都くんと付き合えてダブルデートするならこんな感じなのかな


ユニフォーム姿で肩からはエナメルバッグをぶら下げて大きくてごつごつした手


私が彼女だったら今すぐにでも抱きしめてるだろう


-彰都side-
凛佳
蒼依寝ちゃったね

帰りはみんなと電車で帰ることになって電車に乗ると運良く席が空いていた


そして動き出して5分後すぐに蒼依先輩が寝てしまった
普通寝るの滝瀬だろ
彰都
俺動いてもあまり眠くならないんで

元気だけが取り柄な俺


どんだけ動いても疲れて寝る事はほとんどない


夜になると自然と眠くなる程度
凛佳
いつもより早起きで練習試合も終わって安心したのかな
彰都
あ。お弁当ありがとうございました

向かいに座っている高幡先輩に軽く頭を下げる
凛佳
大丈夫だよ、作りたくて私達が勝手に作っただけだから

不思議に思う


少し前まではこの人が好きだったのに今こうして笑顔を見せられても何とも思わない


それは多分高幡先輩より大事な人を見つけたから


20分もすると高幡先輩や黒木先輩も寝ていた


俺だけ起きている状態になって残り10分携帯でも弄ろうとエナメルバッグから出そうとしたがそれは阻まれた


左肩に重みを感じたから
彰都
先輩?

蒼依先輩が俺の肩に寄りかかってきた


落ち着け俺、相手は寝てるだけだ


……シャンプーの良い香りがする


て、俺変態かよ


左肩が熱い
蒼依
ん、

起こしたかなと焦ったが気持ちよくまだ寝ている
蒼依
あきと…く、ん…

体のあらゆる所の脈が打った感覚


特に心臓が1番脈打つ


寝言で自分の名前を呼ばれることがどれだけ照れるか今実感した


しかも好きな人に
彰都
先輩…

俺が呼んでも寝ている


彰都
好きです、誰よりも…

蒼依先輩の髪に軽く自分の唇を重ねた


髪にキスをすると言う何とも恥かしい事は初めてだししたいと思ったのも初めて


蒼依先輩が誰を好きでも良い、そんなのもう関係ない


貴方の心の中に俺じゃない男(ヒト)がいても振り向かせる



それくらいの覚悟で明日からアピールしますね__

プリ小説オーディオドラマ