───それは、2415年の夏の日。
病室から見える景色は、何と寂しいものなのだと心の中で感じていた時だった。
「___ 誰?」
微かに聞こえた小さな声。
その声は小鳥の様に小さくて、可愛らしい声だった。
ベッドに縛り付けられたかの様に過ごしていた中起きた出来事、僕は頭を扉の方に向ける。そこには ___
1人の同い年程の少女が居た 。
──── 君の名前は 697番。───
その姿は、とても色白く細い。
髪の色も黒と言うよりはアルビノの様に白っぽく瞳は光が全く見えなかった
「君は … 誰?」
「私は、697番。2405年に作られた18歳型人工的人間モデル 。」
" 人工的人間モデル "それは、2400年に開発された人間の体、脳、臓器を持つロボット。世界は何もかも未来的なロボット時代を迎えていた 。
中には" 接客型( 主にお店の店員等 )力仕事型( 主に工場や工事等 )医療型( 主に臓器提供、手術の手助け等 )国家型( 警察,学校等人に何かを教えたり国に纏わる事に関して等 ) "
と、分かれているらしい。
「へぇ__こんな所に居ていいの?」
彼女は病院にいる時点で" 医療型 "だ。
モデルは元々、モデル管理員と共にしか行動出来ないはず。
なのにも関わらず1人でいる彼女に居て大丈夫なのかと聞いては 。
「…… 生きてる意味って?」
聞く耳持たず、彼女はその細く真っ白な足で此方に向かってくる。
彼女の顔はとても整っており、何処かの妖精の様に" 美しかった "
「ぇ、いや…その…生きてる意味?」
彼女は首をゆっくりと上下に振る。
「何だろう__
自分のしたい事を見つける為?自分のやりたい事、自分の夢、自分のこれから先の事を見つける為だと、俺は思うよ。」
俺は、元々心臓が弱くて" 自分のやりたい事が何時しか、真面に出来なくなった "
サッカーだってやりたい。
大好きなハンバーガーも食べたい。
友達と遊びたい 。
何個もやりたい事があるのに__出来なくなった___。
「ねぇ、それは私にも見つけることができる?」
ロボットの彼女は俺に聞いてくる。
その瞳は黒く微かに太陽の光で茶色く見える 。のに" 光は無い "
彼女は" 感情と共に生きてる意味すら理解が出来ないモデルだった "
そんな彼女に俺は言う 。
「あるよ 。世界には__何個も君のやりたい事が見つかる 。そして生きてる意味を理解する日も来るよ。
697番って言い難い_ぁ!__
ロクナ 。」
彼女の名前はとても言いにくく、どうにか良い呼び名を彼女に付けたかった俺は" ロクナ "と名付けた 。
何故だろう___
何分前の瞬間に初めて会ったばかりだと言うのに…俺は彼女とまだ話していたい気持ちになっていく 。
彼女に勝手ながらも付けた呼び名には嬉しかったのだろうか、表情は全く変わっていないのにも関わらず。
──── 笑って見えたのだった 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!