第122話

家族室ー樹奈・琉也ー
222
2019/11/27 14:11
琉也
余命は、一刻と近づいている。


高校1年の時。俺は、樹里の余命をあと4年と言った。

だが、入院して約1年。樹里の体は、もう限界を迎えている。
樹奈
ええ…


移植手術もダメだった…
琉也
でも今の樹里は、県大会に向けて、頑張っている。

だから、今回のオペも行った。

またさらに心臓に負担をかけた。
樹奈
・・・。


大丈夫・・・なんだよね?
沈黙のあとに、口を開いた。
樹奈
大丈夫って保障なんてないよのね・・・。
樹里の前では、笑顔でいなきゃ。
琉也
でも、樹里は必死に生きようとしている。

俺らは、それに答えないといけない。
樹奈
そうね・・・。
琉也
だから、絶対に県大会には行かせてあげたい。
樹奈
ええ…



ピアノの時だけ…樹里が病気のこと忘れられるの…
そう。

3歳から始めたピアノ。


その頃からだった。樹里の病気が発覚したの。

樹里が余命宣告されたのは、中学1年生の時だった。

樹里の心臓は、20歳に動きを止める。
琉也
そうだな。


ピアノの音で、発作起こるかもってひやひやしてたけど、全然そんなことないもんな。
樹奈
ええ。


ピアノは樹里の生きがいだもの。
琉也
だな。
そして、椅子から立ち上がる。
樹奈
そろそろ戻るわ。
琉也
わかった。
一緒に、家族室から出て、ICUへと向かった。











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