〜陽太side〜
俺は終礼の前にアイツに声をかけた
あなたは一度だけ頷いて、視線を下げた。
やっぱ俺嫌われてんのかなぁ。
けっこーダメージでかいんだけど、、
まぁ気にしてられるほどの余裕もないけどな。
〜裏庭〜
ヒュ〜
梅雨前の風は少し生暖かく、むしろ湿っぽい感じだった。
少しだけ俯き加減で、俺と目を合わせないようにこっちに来たあなた。
俺が正直な感想を述べると、
へニャっとあなたが笑った。
久しぶりにあなたの笑顔を見た。
俺はやっぱりこの笑顔が好きだな・・・
じゃなくて!
俺は少し笑顔になった後、真剣な趣きであなたに話し出した。
途切れ途切れにあなたが口を開く。
今の返事は答えになってなくね?
という考えは無くそう・・・。
・・・
・・・?!
あなたが今にも泣き出しそうな顔をしている。
挙句の果てに何を言い出すのやら・・・
いつ俺がそんなこといったんだよ。
俺は無造作にあなたを抱きしめていた。
『嫌いなのか?』
って聞いた分際でこんなことしていいなんて思ってないけど。
泣いてるあなたを見ると、何かしなければと思ってしまったんだ。
・・・触れてほしくないね・・・その話は。
ギュゥゥゥゥゥゥゥ
俺はめいいっぱいあなたを抱きしめた。
ムカつきを分からせるために・・・
と、心の中で言いながら。
あなたの気持ちが、〈離れたい〉に変わるまで、
もう少し・・・このままで・・・
〜あなたside〜
只今、、陽太くんに抱きしめられてます////
あともう少しってどれ位?!
心臓が・・・飛び出そう。
でも、私も、、、、あと少し
あと少しでいいから、、、このままで・・・いたい。
私はそっと、陽太くんの袖襟を掴んだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。