第2話

最悪な日のはじまり
52
2017/10/23 11:29
僕の名前は撫子祐樹(なでしこ ゆうき)。
17歳のちょっとヘタレな男子高校生である。

撫子という苗字や、もともと女顔のせいもあり、
よく女々しいとバカにされている。
それがコンプレックスだった。

しかし僕だって男だ。やるときはやる。


そんなことで、明日。
僕はずっと前から好きだった笹原こまりさんに告白をするつもりだ。

連絡だってしてある。
「明日の放課後体育館裏にきてください、
話したいことがあります。」と。


僕の想いを伝えるためにも、身だしなみはきちんと整えなければならない。

だから、切らしてしまったコンタクトを買いに現在
眼科にいるんだけど‥‥。
医者のお姉さん
キミ、ものもらいができてるわ。
マスクをつけた胡散臭そうなお姉さんに、
痛くもかゆくもない左目を指さされながら告げられた。
撫子 優樹
いや、なんともないですけど。
医者のお姉さん
いいや、ものもらいね。
それは絶対ものもらいよ。
医者のお姉さん
いや、ものもらいじゃなくても、
ものもらい予備軍だから。
撫子 優樹
ものもらいじゃないって言っちゃってますけど。
医者のお姉さん
あーらこれは大変ね。 
コンタクトも処方してあげるけど、
この眼帯もつけて治してね。
僕の言ってることも聞かず、(ヤブ)医者から
受け取った眼帯は、想像しているものとは別のものだった。
撫子 優樹
いや、布地の黒の眼帯って。
普通白いガーゼがついた眼帯じゃないんですか?
黒って‥僕は伊達政宗か。
医者のお姉さん
あなたのものもらいは、とても危険なのよ。
だから特別なものを用意したわ。
これをちゃんと着けるの。
撫子 優樹
‥‥‥‥。
撫子 優樹
だからこれ医療用じゃないから‥。
黒い眼帯を処方する眼科初めてなんですけど。
怪しすぎる。
なんだこの医者。

言ってることがめちゃくちゃだ。
医者のお姉さん
‥うっさいガキだ。
とっとと持って帰れよ。
突然ボソッと言われた低音の声に僕はビビり、
「すみません僕が間違ってました。持って帰ります。」と言って、眼科を後にした。
医者は「 絶対着けてね♡ 」と先ほどの発言をしたとは思えない素敵な笑顔で見送ってくれた。


いよいよ、明日告白するというのに。
なんて日だ。

もらった黒い眼帯を握りしめて、ため息をつく。

しかし僕の最悪な日は、はじまったばかりだった。

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