響君が話してくれた自分の事、俺は思わず泣いてしまった。
母親の言い分もわかる、気持ちが病んでしまうのもわかる、でもそのあとの事を考えて欲しかった。
いじめが発覚したなら学校に言うなりどうにか出来なかったものなのか。
それで逆にいじめが酷くなったり、いじめが元々無かったものになったりするかもしれないけど…それでもちょっとは変わってたと思う。
泣き終わったあと僕は自然と口にしていた。
俺は咄嗟に口元を抑える、まずいことを言ってしまった…。
俺がどうにかしようと言う考えが先走ってしまった。
響君は少し怯えた表情をしている。
なんて言えばいいのだろう、言葉が思うように出てこない。
俺があたふたしてると響君は意を決したような表情をしていた。
そう言って微笑んだ。
そう言うともう1度微笑んでくれた。
響君は「そろそろお腹空いたでしょ?」って言って味噌汁と白ご飯を出してくれた。
あぁ、まともな食事食べるのはいつぶりだろうか…。
それに誰かと食べる、のも久しぶりだ。
響君も嬉しそうに食べてた。
もしかしたら俺と一緒に食べるの嬉しいって思ってくれてるのかな。
そうだと嬉しいな…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。