8月13日。捜査開始。
「自殺ですかね・・・」
「いや。他殺だろ。ほらここを見てみろ」
光を照らすと後頭部に手形があった。
「溺れさせてこのロープで自殺と見せかけて殺したんだ」
「よくわかりますね」
「何年刑事してると思ってんだ」
佐々木は家のなかをみわたした。
「ん・・・?」
出席簿を見つけた。なかを見てみると・・・。
『佐藤りん。永沢れん。学級委員』
「さとうりん・・・ながさわれん・・・」
見覚えのある名前だった。
「鑑識。この二人の電話番号ってわかるか?」
「見てみます・・・」
プルプル・・・。
「もしもし。警察のものですけど」
佐藤りんに電話を掛けてみた。
電話の向こうの声は悲しそうだった。
『はい。なんでしょうか?』
「佐々木です。前にもあったよね?」
『はい・・・』
「佐藤りんさんに間違いないですか?」
『はい・・・』
「今ですね、担任の月村先生が何者かに殺されました。
事情聴取のために署まで来てもらえますか?」
『え?悪いことしました?』
「いえ、そういうことではないです。永沢れん君も一緒にお願いします」
~警察署~
「忙しいのに悪いね」
「いえ・・・」
取調室に入った。
「幸せ町がなくなったの知ってる?」
佐藤は小さくうなずいた。
「どうして居なくなったのかな?」
「言いたくないです」
「じゃ、じゃあ。本題に行こうか」
捜査資料を開いた。
「8月11日って何してた?」
「ファミレスで勉強してました」
「証明出来る人はいる?」
「店員」
「ずっとファミレスで勉強してたの?」
「ううん。家に帰った」
アリバイがあった。犯人ではない。
犯人の指紋もなにもない。
また・・事件は闇のなかに・・・。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。