アイツを見たのは何処かへ行った帰り道だった。
マンションに入っていく男女をじっと見ていた。
女は20代前半。俺と同じくらい。
しかし、男の方は50はいっている。
そして、女は嫌そうな、浮かない顔をしていた。
俺はその女を好きになった。
それから、彼女を監視するようになった。
いわゆるストーカーって奴だ。
もし、彼女が俺を愛してくれても、彼女は俺がストーカーだと知ったらどんな顔をするだろうか。
きっとその顔も可愛くて、美しいのだろう。
そう思うと俺は、彼女が欲しくて欲しくて仕方なかった。
そんなある日、男が何処か遠くへ行った。
俺はチャンスだと思った。
2人の部屋の番号は知っている。
マンションのセキュリティはすぐに解除できた。
部屋の前に立った。
この中に入ればあの、彼女に会える。
扉を開けると色んな扉があった。
だが、俺は知っている。
この部屋で彼女がいる場所を。
手前から2番目のドア。
此処が彼女の居るところだ。
俺の飼い猫になる子の。
扉を開けるとそこには大きなベッドに一目惚れした仔猫ちゃんが手首を縛られて服を薄いのを1枚着ているだけだった。
仔猫ちゃんは俺を見つめた。
つぶらで少し潤いのある瞳だ。
この声。凄い好きだ。
俺は知ってるんだ。
君の声を。君の喘ぎ声を。
なんで知っているかって?
盗聴したから。それから、隠しカメラも付けた。
2人が居ない間に。
1回、男にバレそうだったけどバレなかった。
勘の悪い男だ。
あと、俺は2人の関係を知っている。
親子だ。
男は仔猫ちゃんの父親で多分、母親は他界したのかな。
母親が他界してからあの男は仔猫ちゃんを犯しまくっていたんだろうな。
仔猫ちゃんの処女もアイツが取った。
毎日、父親に無理矢理犯される仔猫ちゃん。
泣き叫んでいた。喘いでいた。
俺は、君を幸せに出来るんだ。
君の父親より、絶対に。
あの、あの仔猫ちゃんが俺の名前を呼んでくれた。
ヤバい、俺のが元気になっちまう…。
待ってました。その言葉。
やっぱり、仔猫ちゃんは本当に可愛い。
ヤバい。本当に凄い可愛い。
俺は仔猫ちゃんの言葉を聞くと手首を自由にしてあげた。
そして、仔猫ちゃんはちゃんと服を着て俺に近付いた。
これから俺と仔猫ちゃんの生活が始まる。
仔猫ちゃんは誰にも渡さない。
絶対に!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。