夕食の時間が近づいてきた。
もうすぐハロウィーンだからなのか、最近は全員集まって飯を食べる事が多い。
少しめんどくさいが、別に嫌な気はしない。部屋にこもってひたすら書類を片付けるよりは何倍もマシだ。
スカーはいつも一番最初にパーティ会場とやらに来る。次に来るのは大体俺だ。朝はなかなか起きられねえが、夕方は何故か早い。自分でも分からねえが。そのため、ここに持ち込んだ書類を進めながら、スカーと会話する事はよくある。
めんどくさいから断ろうとも思ったけれど、どうせやらされる羽目になるのは目に見えていた。
無理だ。時間の無駄だと言おうとしたが、スカーはノリノリで今からやめられる雰囲気では無かった。
カツ...カツ...
それから間もなく、足音が聞こえてきた。
ヒールがあたる音からすると、恐らく女だろう。
おお、分かった!とスカーが言う。だめだ。全然わかんねえ。
このジャングル育ちはなんで分かるんだ。
怖い。
何度も言うが、全く分からねえ。当てずっぽうでも当たる気がしない。
コツッコツッコツコツッ
こいつは...
俺にも分かる。独特なリズムを刻んでる。
しかも歌ってる。
♪薔薇の花をぉ赤く塗ろっおよぉぉぉぉ!
首をおはねぇ!
マスターをバカにしたようなモノマネ。
ほんとに首をはねられるぞ。
ダダダダダダッ
まて、もう1人いる。トランプと一緒にいてこんなにうるさい足音の奴といえば。
案の定スカーは騒いでいる。
俺はこんな奴の歩き方に似てるのか?
うるさい。やな奴が集まってきた。
かつ、かつ、かつ──
誰かきた。
さっきは当たったけれど、あいつらがうるさいから分かったようなもんだ。自分の力じゃない。やはり俺にはわかんねえ
食い気味なジャックに大体のことを話すと、「やっぱ聞いてるだけでいいや」と放棄した。
あー、はいはい。と適当に流した。
ん、また誰かきたみたいだ。
カツカツ、と少し落ち着きのない音。
これは...
無意識だった。
それまで騒いでいたダルメシア、ジャック、MP、それと俺に初めて先を越されたスカー、興味無さそうに外を眺めていたハーデスが一斉に驚いた顔でこっちを見た。
なんで分かったのか、こっちが聞きてえよ。
だんだん恥ずかしさがこみ上げてきた。
スキャター以外のやつがニヤニヤしながら話しかけてくる。
死にたい...
こんな自分が嫌になってくる。
スキャターは何が何だか分かっていないけれどニコニコしてる。
手で顔を抑えながらそう言った。
スキャターが鈍くて良かったと思った日は今までもこれからも無さそうだ。
❦ℯꫛᎴ❧
なんだか話がごちゃごちゃしててごめんなさい🙏
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!