第5話

手紙
496
2017/11/04 09:49
翌日担任から、あなたは地方に引越ししたと聞いた。親の転勤とかじゃなくて、心臓だか肺だかの病気が悪化したため、空気の綺麗な田舎に引越すことになったそうだ。
最後まで普段通りに過ごしたい、
その彼女の願いから学校以外誰にも言わないでと頼まれたらしい。
彼女らしいのかもしれないけど、
こんな日々が当たり前でいつまでも続いていくと思っていたから驚きが隠せない。

教室中が唖然としていた。
泣いてる子までいた。
自分に最後に会ってくれて、別れを告げようとしてくれたのかと思うと涙が止まらない。


あれから一年…
ちゃんと学校にも通ってるし、普通に生活している。
でも言葉にならない君の別れに
まだ受け入れられないことばかりだったり…
心にはぽっかり穴が空いたままだ。
でも僕の前にもうあなたは現れない。
記憶さえも少し消えかかろうとしていた。
もう忘れちゃった方がいいのかな、そうふと思っていた学校の帰り道…。
郵便ポストに 俺宛てのかわいい便箋が入っていた。
あなたからだ。

プリ小説オーディオドラマ