何とか助けを求めることが出来た。けれど
お兄ちゃんはどうやって助けてくれるんだ?
ギュッと目を瞑りお兄ちゃんが来てくれるのを
祈るしか無い僕は抵抗をしなくなっていった
_______________その時だった
「空!」という大声とともに開かれた扉は
ギシギシと嫌な音を立ててついには2度と
起き上がらなくなった。僕は何もされて
いないのに安堵の涙が頬を伝っていくのが
分かった。あぁ...これが僕の大好きな人なんだ
と心から実感した。これ以上迷惑掛けんのも
不安にさせるのも嫌だ。自分の思いを全部全部
お兄ちゃんに伝えてしまおうか。お兄ちゃん、と
少し震えた声でお兄ちゃんに声を掛けると
そこにはやっぱり優しい笑顔のお兄ちゃんが
居て、少し躊躇ってしまう。でも決めたんだ。
お兄ちゃん、大好き! と大きな声で叫ぶと
狭い倉庫に響き渡って、木霊したあとに小さく
お兄ちゃんが俺も、て言ってくれて僕はすごく
胸がいっぱいになった。そして長かった
僕の歪んでしまった愛が実った瞬間だった
❦ℯꫛᎴ❧
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!