フラれて泣いていた私は家に帰るのもなんだか嫌で公園にいた。
一人ぼっちの公園とはなんと寂しいものか。
ブランコに揺られながら考えた。
別に龍輝をすごく好きだったわけではない。
ただ彼氏というだけで2年も一緒にいた人を失ったと思うとすごく辛かった。
最初の告白は彼からだったが一度気が合わなくて2ヶ月ほどで別れた。
2回目の告白は私からで、その後は私が彼に合わせてなんとか2年もった。
確かに好きと言われたことは一度もなかった。
しかし無理矢理のキスはよくあった。
あっちも男だしそりゃキスくらいしたいだろう。
それでも私は好きだって思ってくれてると信じていた。
こんな別れ方で良かったのだろうか。
冷静に考えるともっと涙がでてくる。
後ろから声がした。
振り向くと暗くてよく見えないが男の人がいる。
そういうと男の人は隣のブランコに座った。
私は戸惑いながらも全てを話した。
不安だったこと。フラれて辛かったこと。
誰かわかんないけど自然とこの人になら喋れる気がした。
前髪で目は隠れていて無愛想だが声がとても優しかった。
そう言って頭を撫でてくれた。
不思議とさっきよりはるかに気が楽になった。
男の人はそのまま立ち上がって帰っていった。
私も帰ろうとした時、何かの紙が落ちていた。
「高也くんへ 26日19時 ××駅前待ち合わせ 重要」
と書かれている。
重要って書いてるし一応これ届けなきゃ…
と思ったが道にはもう誰もいないしどうしよう。
26日は1週間後、それまでにあの人を探して届けなきゃ…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。