第2話

#2 出会い
84
2017/10/20 11:57
フラれて泣いていた私は家に帰るのもなんだか嫌で公園にいた。
一人ぼっちの公園とはなんと寂しいものか。
ブランコに揺られながら考えた。

別に龍輝をすごく好きだったわけではない。
ただ彼氏というだけで2年も一緒にいた人を失ったと思うとすごく辛かった。
最初の告白は彼からだったが一度気が合わなくて2ヶ月ほどで別れた。
2回目の告白は私からで、その後は私が彼に合わせてなんとか2年もった。
確かに好きと言われたことは一度もなかった。
しかし無理矢理のキスはよくあった。
あっちも男だしそりゃキスくらいしたいだろう。
それでも私は好きだって思ってくれてると信じていた。

こんな別れ方で良かったのだろうか。
冷静に考えるともっと涙がでてくる。
高也
高也
え、なに。大丈夫?泣いてる?
後ろから声がした。
振り向くと暗くてよく見えないが男の人がいる。
あなた

え!?別に……大丈夫…です…よ…?

高也
高也
大丈夫そうには見えないんだけど。高校生だろ?早く家帰れよ。こんな暗いのに。
あなた

嫌です……こんな顔で帰れるわけないし。

高也
高也
なんだよ、やっぱ泣いてんのか。しょうがねぇなぁ。
そういうと男の人は隣のブランコに座った。
高也
高也
話せるなら俺に話してみろよ、聞いてやる。
私は戸惑いながらも全てを話した。
不安だったこと。フラれて辛かったこと。
誰かわかんないけど自然とこの人になら喋れる気がした。
前髪で目は隠れていて無愛想だが声がとても優しかった。
高也
高也
そうか。辛かったよな。よしよし。
そう言って頭を撫でてくれた。
不思議とさっきよりはるかに気が楽になった。
高也
高也
これ。そこのコンビニで買ったやつで良かったら。一個だけな。
あなた

チョコ…?じゃあ一つだけ、いただきます。

高也
高也
どうだ、帰れそうか?
あなた

はい、もうだいぶ楽になりました。聞いてくれてありがとうございました。

高也
高也
全然いいよ。気をつけて帰れよ。
男の人はそのまま立ち上がって帰っていった。
私も帰ろうとした時、何かの紙が落ちていた。

「高也くんへ 26日19時 ××駅前待ち合わせ 重要」

と書かれている。
重要って書いてるし一応これ届けなきゃ…
と思ったが道にはもう誰もいないしどうしよう。
26日は1週間後、それまでにあの人を探して届けなきゃ…

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