二学期になった。
それは突然の出来事だった。
「谷原優介です」
転校生が来た。
先生の甥らしい。
「よろしくな」
「えっ?あ・・・うん」
あいにく隣の席だった。
「お前、名前は?」
「お前って呼ばないでよ」
「だから名前教えろって」
「佐藤りん」
「ふうーん・・・よろしくな」
谷原先生が入ってきた。
「先生だ❤️」
夏休み中会えなかったから寂しかった。
「先生・・・」
女子が先に先生のところに来た。
私は突き飛ばされた。
ドッス。
「痛っ!」
「大丈夫か?」
先生が手をさしのべた。
「うん♪」
キーンコーンカーンコーン。
授業が始まった。
「先生ー。教科書忘れたんで見せてもらっってのいいです?」
「ああ」
机をくっつけた。
(先生カッコイイ~❤️)
ずっと見とれてた。
隣では優介君が寝ていた。
Zzz・・・。
そういえば・・先生に似てる。
「んー・・・」
「ねえ、ねえ。起きて」
小声で話してた。
「ねえ・・・」
教科書を立てられた。
優介君はゆっくり起き上がった。
「なあ・・・お前、兄貴のこと好きなの?」
「え・・?」
グイッ。と近寄られた。
「な・・・」
チュッ・・・?
え?え?えーーーー!
抵抗しようとして教科書が倒れた。
ザワ・・・ザワ・・・。
「キスしてる・・・」
「んーんー!」
ドンッ!!!
振り切った。
思わず優介君のほっぺを叩いてしまった。
「何すんのよ!」
泣きながら教室を出て保健室へ来た
ポロ・・・ポロ・・・。
どうしよう・・・。ファーストキスなのに・・・。
キスって大切なものなのに、ファーストキスは先生がよかった。
グス・・・グス・・・。
「先生・・・」
そう呼ぶと先生が向こうから来た。
「先生・・・」
泣きそうな声になっていた。
「大丈夫か?」
プイッ。っとそっぽを向いた。
「何も思わなかったの?私がキスされてて」
「・・・」
「どうしてなにも言わないの?」
「今日、家に来る?」
「どうして?ここで話せな・・・」
ギュッ。
抱き締められた。
「先生・・・」
「ごめん。ちゃんと話そう今日」
「うん・・・」
大丈夫。なにも怖くない。先生がいるんだもん。
「家ってどこ?」
「秘密~」
手を繋いで教室にかえってた。
「連絡先」
「え?」
「知りたい」
先生に抱きついた。
「じゃあ、今日教えるね」
「うん・・・」
先生の匂い。優しくて安心する匂い・・・。
抱き締められた感触は私のなかに残ってた。
ドキン・・・ドキン・・・。
まだ先生と一緒に居たかった。
「はあー・・・」
ドキドキするのは幸せなこと。
そう思っていた・・・。
放課後。
「お前、のろけすぎ」
「ちょっと来て」
手を引いて屋上へ。
「なんだよ」
「謝ってよ。キスのこと」
「じゃあ、連絡先教えて」
「やだ」
「じゃあ、謝らない」
「言っとくけど、谷原先生と私は恋人じゃないから」
「・・・」
私はちょっと震えながら言った。
「私、用事があるから行くね♪キスなかったことにしてね♪」
走ってそこを離れて教室へ。
先生の家に呼ばれた。
ドキン・・ドキン・・。
胸がドキドキする。不安とときめきを胸に。
「大丈夫だ。守ってやるから」
先生に抱き締められた。
ポロ・・ポロ・・。
不安でいっぱいだった。
「うん・・・。信じてる。」
「好きだ。」
「えっ?」
「今日、優介にキスされてるとき俺。焼きもちやいたんだ」
「先生・・・」
「だから誰にも渡したくない」
先生のまっすぐな気持ち。
「俺と付き合って」
「はい・・・」
もう恋は止まらない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。