「おいこら、雷!」
っつ…。叩かれた。
「いってぇな…」
ぼそぼそと、ぼやいていると、俺、紳矢雷の双子のの妹、紳矢風が
「雷が起きないからじゃん」
と厳しい答えを出していた。正直に言うと、俺達は真逆だ。自分で言うのも何だが、俺は静かでミステリアスな感じ。風は五月蝿くて、明る過ぎるくらい。何故こんなにも違うのか。俺には到底わからないが、一つ、仮説を立てるとしたら、「お約束」だからではないだろうか。
「オラっ、はよ起きろー!」
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ドゴッ!思いっきり蹴ってやった。痛いとか聞こえるけど、聞こえないふり。っていうか、そもそも雷が悪いし。ムクっと雷が起き上がった。
「よし、やっと起きたな。」
満足だ。とても満足だ。
「……。ご飯は。」
忌々しげにこちらを見て来る雷は気にもとめずに…とまでは行かなくとも、言葉にのみ反応して、
「れいぞーこの中ー」
と返事をする。チラリと時計を見る。あ、ピンチ!
「らっ、雷っ!!急いで!あと30分しかないよ!」
「!?それを早く言え!」
あー……今日は遅刻を覚悟しないと。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。