…何も無い空間に、突然動きだしたモノ。ソレはゆっくりと立ち上がり、動かない人形─人形の様に立っているモノに話しかけた。
「ユーカ。暇。」
今までの不気味な雰囲気をぶち壊したモノ─リオナ・リーアスナはそんな事全くお構い無しに話しかけ続ける。
「ねーねー、ユーカァ」
しかし、全く相手にしないモノ─ユーカ・アルシストに少々拗ね気味に、
「ユーカ…ユーカユーカユーカユーカユーカユーカユーカユーカユーカユー(ry」
「うるっさいな!黙って!」
とうとう、ユーカがキレた。しかし、そんなのにリオナは怯まず、むしろチャンスだとでも言うように、目をうるっとさせ、スカートの裾をくいくいっと引っ張り、甘えた声で、「ユーカ…起こっちゃった…?もう、口聞いてくれないの?」と言った。
「っ!お前…その手は卑怯だろう!」
まだうるうるさせたまま上目遣いで「?」と可愛らしく見つめた。「…そんな事は…無い」ごにょごにょ言っているユーカは可愛らしい。リオナは内心とても喜んでいた。
「リオナ、もうそろそろそれ使わないわないほうがいいと思うぞ。リオナは男だろ?」
…そう、リオナは正真正銘男だ。女の子の様な名前と外見。一瞬見ただけでは女の子に見える。しかし、当の本人は、そんな事お構い無しに
「えー…じゃあ、ユーカももう少し女の子っぽい話し方してみてよ。話し方だけじゃあ、男だよ。」
「お前…人が気にしていることを…」
なんだか、雰囲気がどんどん崩れていくものの、これはこれでいいのではないだろうか。さぁ、もっと楽しませてよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。