第18話

世詩流のためらい
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2017/11/21 01:54
真影
ご自分のために人が傷付くのを見ていられなかったと!?何をおっしゃられるのです。俺達忍は主君のため、己を捨てるのが使命なのです
世詩流
そう...あり得ません。忍者を守るために武将の妹が飛び出すなど、本末転倒のはず...。
あなた

はぁ...真影、さん...。ご無事で、良かった...。

真影
あなたさん...。そのような怪我を負いながらも、まだこの俺を案じて下さるのですか。まったく、あなたという人は...。まず、自分の身を心配して下さい。あなたに何かあったら俺は...。怪我をさせてしまい、申し訳ありません。少しそこで、休んでいて下さい。
言うと真影は、すっと世詩流に向き直った。
真影
かかってこい、世詩流!この真影、攻撃は苦手であるが、これ以上あなたさんを傷つけはさせぬ!
世詩流
っ...!黙って下さい!ほんにゃかなんにゃか!
真影
うわあああ!
雷に撃たれた真影は、屋根の上に膝をついた。
世詩流
た、倒しましたか!?
真影
っ...なんの...まだまだ...。
真影はフラフラと立ち上がった。
世詩流
くっ...ほんにゃかにゃか!
真影
うあああああ!なん、の...これしき...
世詩流
なんで...勝負はもう見えているのに、どうして...立ち上がるの...ですか...。いえ、でも...。忍の道は非情...。...ごめんっ!
真影に最大級の雷が当たる。
真影
うあああああっ!
真影はその場に倒れこんだ。
世詩流
はぁ...はぁ...。意識を失いましたね。さああなたさん、今度こそ、あなたの最期のときです。
あなた

...っ!

世詩流は恐怖で震えて動けないあなたにゆっくりと歩み寄っていく。
世詩流
震えている?怖くはありません。痛いのは最初だけ。すぐに天国に送ってあげます。さあ、このワタシの手裏剣で...。
世詩流はあなたに止めをさそうと手裏剣を構えるが、動けなくなる。
世詩流
くっ...。なぜ...手が、動かない...?なんで...?ワタシは忍者、冷静に任務を遂行しなければ...。でも...。
あなた

...世詩流さん...。

世詩流
...っ、そんな瞳で見ないで下さい、ワタシの名前を呼ばないで下さい...。あなたさん、ワタシは...。

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