第2話

回想 始まり
36
2017/10/23 13:55
「ん……朝…?」




カーテンに差し込む太陽の光で目が覚める。
時間を確認しようと私は壁に掛けてある時計を見た。




「7時……30分?……ああ!!!!

遅刻だ!間に合わないって!!」




昨晩の夜更しが効いてしまったのか
本来7時に起きるはずが、こんな時間になってしまった。




「あなたー先に行ってるからー」




「待って!!送ってって!」




「なんでだよ」




靴を履いている兄の背中に声を掛けると
ため息混じれで応答する。




「遅刻寸前なんだよ!!お願い!!」




「こんな時に魔法があれば
俺はこんな目にならなくて済んだかもな」




「そうそう。それに!私だって遅刻せずに……
って違う!!送って欲しいんだよ!!」




「はいはい。分かった」




"ほれ"とヘルメットを渡されて私は外へ行った。

兄は大学生でいつもバイクで通っている。
だから遅刻してもいつも送ってくれる。
さっきみたいな言い合いは珍しくないけどなんだかんだ
優しい兄なのだ。
「近くまで着いたぞ。授業頑張れよ」

「うん!お兄ちゃんもねー!」




手を振って見送った後、猛ダッシュで学校まで走る。




「……はぁ…瞬間移動的なの出来たらいいのに」




そんなことを考えて
ありえもしない現実にため息ばかり出て来たその時。




「ほら……こう、人差し指でほいっとやったら
…ギャァァ!!!!」




人差し指でクルッと回すと突然地面が抜けて
アリスの如く真っ逆さまに落ちていった……

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