朝6時。
目覚まし時計のアラームが鳴り響く。
慌てて飛び起きるが今日は日曜日。
安堵すると同時に大事な用事を思い出した。
(わたわたと準備をする)
前日に準備しなかったせいで余裕が無いので取り敢えず家を出発。
会場へと急ぐ。
会場で、まず入場許可をもらい持ってきたジャージに着替える。
困り果てた私は更衣室を出てスタッフを探す。
泣きそうになりながら体育館の隅に座る。
涙が溢れてきて思わず俯いた。
突然の黄色い悲鳴に驚いて声の方を見る。
自分がいる場所からは遠くて、同じ空間にいるはずなのにテレビの映像を見てるみたい。
みんなは手を振ったりメンバーの名前を叫んだりしている。
ポジティブ思考じゃないとやってられない、と
無理矢理あり得ない期待なんかしてみたり。
でもやっぱり、ゲームが始まっても誰も私なんか気に留めない。
コートでは大勢のファンと一緒にシルクロード、ンダホが楽しそうに走り回っていた。
コート外に目を移すと
第一試合には出ないのだろう、
モトキとマサイはスタッフやファンと一緒におしゃべりやゲームの応援などをしている。
荷物をまとめて立ち上がる。
楽しそうな声を背中で聞きながら、私は誰にも見られないようにして
そっと体育館を出て行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!