
第30話
引っ越し
必要最低限の荷物だけまとめ、ンダホ号に乗り込む。
今日からモトキさんの家にお邪魔するのだ。
ンダホさんが言っていた通り、モトキさんの家までは車で1分もかからない距離だった。
そんな短い距離なのに…
改めて身の危険を認識する。
車から家に入る時でさえ、ンダホさんが付き添ってくれた。
みんながずっと一緒にいてくれるのは助かるけれど、
正直とても疲れる。
そんなこと、言っちゃいけないけど…
と考えながら言われた通りソファーに荷物を置くために部屋に入る。
ンダホさんを見送ったらしく、モトキさんが戻ってくる。
私は驚いて答えられなかった。
口にも顔にも出していないのに、今考えていたことがわかるなんて…
ずっと張り詰めていた気持ちが、モトキさんの優しさで緩んでいく。
気付けば私は涙を流していた。
モトキさんは隣に座り、子供を扱うかのように私の頭をぽんぽんしながら
ゆっくり話しだす。
しばらくの間があく。
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