ぺこりとおじぎして、家に入ろうとする。
腕を掴まれる。
,
…え?
さっきまでとは違う、真剣な眼差し。
でも、時間をかけても私が出そうとしている答えは変わらないだろうなと思った。
今までのようなドキドキも、顔が熱くなる様子も、感じれない。
これがあと1ヶ月前だったら。
きっと私は人生で一番幸せだと舞い上がっていただろうな。
と思いつつ、私も無表情だった訳じゃない。
少し笑みを浮かべて、頷く。
突然の告白に驚き、そして少し嬉しかった。
私が先輩に告白したって、何とも思われていないと思っていたから。
先輩は、それだけ言うと、自分の家へと続く道を歩いて言った。
無言で、その姿を見送る。
しばらくそうしていたけど、家に入ろうと門を開ける。
でもどこかから聞き慣れた、でも聞き慣れていないような声がした。
「ちょっ…あなた…来てくれないか…?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。