第3話

02 お守り
801
2017/11/02 07:57
とうとう受験日だ。
筆箱に付いたお守りを強く握る。
このお守りは健ちゃんが作ってくれた。
それは小4のころだ。
その頃私は勉強が苦手になりつつあった。
あなた

健ちゃん…また50点だよ(泣)

大丈夫。あなたはいつも頑張ってるじゃん。はい、これあげる。
あなた

何?これ?

これは頑張れば必ず結果が出るお守りだよ
あなた

へぇー。そーなんだ。
健ちゃんありがとう♡

これがあるから私は頑張れた。
あなた、ポスト見てきて。
あなた

はぁい。

ポストを見るのが私の係。
あなた

……………!?

珍しく私宛だ。切手もないし住所もない。
とりあえず読んでみる。
「山本あなた様

もうたくさん雪が降って寒いですね。
本日は受験日。窓からあなたの勉強してる姿がよく見えます。
努力は必ず報われる、僕はそう思ってます。
あなたが小4の頃(覚えてないとは思いますが)それに似たような言葉を言いました。
あなたを見て報われるのは本当だと確信しました。
高校には絶対行ってください。
僕は色々あって中退したので憧れがものすごくあります。
後悔しない受験をしてきてください。
春、笑顔で入学するあなたを心待ちにしております。

三宅健」
あなた

覚えてない訳ないよ…

健ちゃん…。
こんなに長々と私に書いてくれてありがとう。
新たにお守り増えそう。
(健ちゃん中退したのに金持ち…凄いな)
そして。
先生
始めっ!!
カチカチカチカチ…。
私は健ちゃんの言葉を胸に鉛筆を動かす。
1分1秒も無駄にしないように。
そして後悔しないように。

プリ小説オーディオドラマ