第37話

ルキ達の過去
938
2017/11/11 11:36
ルキ
ルキ
ここが台所だ。
あなた

は、はい...。

あなたはルキに屋敷を案内され、必死に場所を覚えようとしていた。
あなた

(う、やっぱ屋敷広くて覚えるの大変...でも、迷子にならないように覚えないと...。)

ルキ
ルキ
...。
あなた

(そういえば、さっきの夢の子供達は...本当にルキ先生達、なのかな...。聞いてみたらダメ、かな...。)

案内するルキの後ろをついて歩いていたあなたはふとまたさっきの夢のことが気になり、ルキを見つめていた。
あなた

(でも、聞いてみるだけ、聞いてみようかな...。)あ、あの...ル、ルキ様、少し聞きたいことがあるんですけど...。

ルキ
ルキ
...なんだ。
あなたがおそるおそる口を開くと、ルキは歩いたまま後ろを振り向かずに言った。
あなた

あ、あの...ルキ様達は元人間、なんですよね?もしかして人間の...子供だった時に、皆でどこかから逃げ出そうとしていたり、大人達に追いかけられていたり...してませんでしたか...?

あなたがそう言うと、ルキはその場に立ち止まった。
あなた

え?きゃっ!?

そしてルキは後ろを振り向き、あなたを近くの壁に追いやりー
ルキ
ルキ
お前、何故それを知っている?
あなた

え、そ、その...夢で、そんな夢を見て...ルキ様達に、似てる...気が、して...その...。

ルキ
ルキ
...そうか。ふん、まあいい...。家畜であるお前に、主人である俺達のことを教えてやってもいいだろう...。そうだ、俺達は元人間、そして...孤児院にいた。
あなた

え...?孤児院...?

ルキ
ルキ
ああ、俺達はそれぞれ色々な理由があって...孤児院に入れられたがそこはひどい場所でな、このままではダメだと、俺達は脱出を試みた。お前が見た夢というのは、おそらくその時のだろう。俺達は追ってきた孤児院の大人どもに捕まり、死にかけていたんだ。
あなた

え...。

ルキ
ルキ
そんな俺達を、あの方が...とある方が、俺達をヴァンパイアに変えたことで救ってくださったんだ。それ以来、俺達はヴァンパイアとなり...兄弟となった。血は繋がっていないがな。
あなた

そう、だったんですか...。

ルキ
ルキ
...家畜、だからといって、油断するなよ?
あなた

え...?っ、あ...。

ルキはそう言うと壁にあなたを追いやったままあなたの首を絞め...。
ルキ
ルキ
...俺達が元人間だったとしても、今はヴァンパイアだ...人間だったのは遠い昔のこと...俺達はもう、人間の心など持ち合わせてはいない...分かったな、家畜...俺達に逆らおうとするなよ?もう、過去の話もするな...。
あなた

っ、う...は...い...。

ルキ
ルキ
ふっ...。
ルキはそう言うとあなたを解放した。
あなた

ぅ、げほっ、げほっ...!

ルキ
ルキ
ふっ、これで屋敷は一通り案内した...。また朝食の時間に呼びに来るから、お前はそれまで部屋にいろよ?
あなた

あ...は、い...。

ルキはそう言うと廊下を歩いていった。
あなた

(やっぱりあの夢の子供達は...ルキ先生達だったんだ...やっぱり、元人間、なんだ...。)

あなたはしばらく床に座り込んでいたが、やがて迷子にならないように気を付けて必死に覚えたばかりの廊下をたどり自分の部屋に戻った。

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