プリ小説

第2話

茨道より愛をこめて

例えば君が午後の優しい日の下で
猫のように眠っていたとき
私には君が透明な光を司る
神様に見えていた

例えば君が少し弾んだ足取りで
私の名を何度も呼んでいたとき
何よりも愛おしいと思うその声に
目を閉じて泣きそうになるのを堪えていた

例えば君がすべての記憶を失って
他人の笑い方で私を見たとき
失うものだから世界は美しかったのだと
捩じ切れる胸で呟いた



例えば私がすべての記憶を忘れない人間で
君のちょっと嫌なこと 合わないところ
全部覚えていたのなら
そんな毒で自分を満たして
必死で君が大嫌いな私を作りあげる

でも私は君が誰より好きだということだけが
取り柄の人間だから
嬉しさで上書きされて猫のように
もうそれしか思い出せなくなるの


例えば君を殺せるのなら
私の心から殺せるのなら

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雪凪
雪凪
表紙は自分の絵か写真です 普段はイラストを投稿しています 美しい日本語で遊ぶことが好きです 休日の料理と美味しいワインと お絵かきを糧に生きています どうぞ宜しくお願いします