第3話

#3 約束
59
2017/10/24 10:48
それから3週間後。

「ケガも順調に治っていますね。
学校に行くのもいいでしょう。」
「どうするの?」
母が尋ねた。


私はしばらく悩んだが、行くことにした。



「おはよう!」

小鳥が朝日に照らされながらさえずる朝。
すべてが変わってしまったようで、何も変わらない朝。
それなのに、私の胸はどきどきしている。

学校の門をくぐり抜け静かに教室へ向かう。

不思議そうにこっちを見る人。
心配そうにこっちを見る人。
嬉しそうにこっちを見る人。

「おはよっ」
「えっ!」
少し驚いて振り返ると
話しかけてきたのは、幼馴染で隣の席の中川涼介だった。

「びっくりするじゃん!」
少し怒りながら呟いた。

「ごめんごめん。里奈、元気なかったから。」

うれしかった。すごく。うれしかった。
ずっとひとりぼっちのような気がしてた。
それなのに、
そんな気持ちを一瞬にして
どこか遠くに吹き飛ばしてしまったようだった。

涼介
大丈夫か?
里奈
大丈夫。
里奈
ありがとう😊
涼介
あ、お前なんか今日放課後予定ある?
里奈
別にないけど、
涼介
じゃあ決定な
里奈
え?
涼介
遊びに行くんだよ
里奈
いいけど
里奈
急になんで?
里奈
それにすごい久しぶりだし
涼介
別にいーだろ
涼介
お前どうせ暇なんだろ
里奈
そうだけど…
涼介
んじゃあ5時30分にサイゼな
里奈
わかった。
いつも涼介は強引だ。
相手の気持ちなんか考えずに約束するし。

でも、そんなこと1時間目の授業の時には
すっかり忘れていた。

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