第4話

ジャンSide
2,374
2017/12/10 15:02
おかしい、やっぱりおかしい。
いつもは真面目に授業を聞いているあいつが今日は机に突っ伏して寝ている。
この学校の教師は寝ている生徒をしつこく注意しないから、簡単に考えて3時動いていないことになる。


3時間目のチャイムが鳴って、起立の号令をかけた学級委員。
その号令に従ってみんなが立ち上がる…が。









バタンッ!



大きな音がした。
みんなの視線がそこに集まる。
あなただ。あなたが倒れたんだ。
クラスがざわついて隣にいたコニーはあなたに駆け寄って「熱っ!?先生!めっちゃ熱いです!」って叫んでた。
通路を挟んで2つ後ろにいる俺は、あなたのもとへ駆け寄る。
無意識だった。
あいにく、英語の先生は定年近いお婆さん。
「キルシュタイン君!あなた保健委員だったわよね?運べるかしら??」
ちょっと強く、また焦った声で俺に問う。
はいとは言ったものの、この脱力仕切った体をどう持ち上げたらいいのかわからず、俗に言う『お姫様抱っこ』であなたを抱えた。
そして急いで、でも振動をあなたに与えないように1階の保健室へ向かった。
こうゆう時に最上階のクラスは不利だなと思う。
まぁ、こんな状況になるなんてなかなかないのだけれども。


保健室についてベッドにあなたを寝かせた。
保健の先生、ハンジ先生が体温計を持ってきてあなたの脇に挟むと俺に話しかけてきた。





ハンジ先生
君はこの子の彼氏かい?
ジャン
はぁっ!?ち、違いますよ!
ハンジ先生
そっか!
ハハッと笑うハンジ先生。
とても落ち着いている。
きっとこんなこと馴れっこなんだろう。
そう考えていると体温計が鳴った。
40度近かった。
ハンジ先生
こりゃ早退だね。
君、この子の親の電話番号とか知らない?
ジャン
あ、えっと…コイツ親いないんす。
そう、あなたには両親がいない。
6年の冬、出張先で交通事故にあって亡くなったらしい。共働きの家庭で育ってきたから日常生活は基本1人でこなしてきたのであまり問題はなかったから、国やボランティア団体からの支援などで生活をまかないながら今は一人暮らしだ。
ハンジ先生
そうか…それは悪いことを聞いたね…
ジャン
あ、いえ…
ハンジ先生
しっかし弱ったなぁ、どうしようか、この子。
ジャン
あ、それなら俺送りますよ。
放課後までコイツ見ててもらうのってありっすかね?
ハンジ先生
うーーん…状況が状況だしね……
うん!いいよ。
ジャン
ありがとうございます!
ハンジ先生
じゃあ、放課後によろしくね。
ジャン
うす!
っと言って放課後。
俺1人じゃあをあなた抱えて2人分のカバンは持てないから、家も近いしめちゃめちゃ心配していたコニーを連れて保健室にやってきた。
あなたはまだ寝ていた。
ハンジ先生
ありがとうねー。
じゃあえーと、お願いしちゃっていいかな?
ジャン
はい
ハンジ先生
よろしくね、おだいじにー!
ジャン
失礼します
あなたをおぶって保健室を出る。
下駄箱は保健室を出てすぐなので履き替えて、コニーにあなたに靴を履かせてもらっていざ出発。
しかし本当に熱い。
既に背中が汗ばんできた気がする。
コニー
なぁ、大丈夫なのか?本当に…((オロオロ
ジャン
大丈夫だよ、そんなに心配すんな。
コニー
でも…
コニー
へ、変だと思ったんだよ。
授業中とかいつもは起きてんのに今日は寝てるから。
たまに咳とかしてて、もしやとは思ったのに、声かけてやれなかった。
俺のせいだ…
こんなに焦って、不安そうにしているコニーは初めて見たかもしれない。
別にこいつのせいじゃないのに。
よく見たらコニーの目に涙が浮かんでいた。
泣いてんじゃねーよと言ったら、泣いてねぇ!と潤んだ瞳で睨んできた。
そんな目じゃ説得力ねーっつの。

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