おかしい、やっぱりおかしい。
いつもは真面目に授業を聞いているあいつが今日は机に突っ伏して寝ている。
この学校の教師は寝ている生徒をしつこく注意しないから、簡単に考えて3時動いていないことになる。
3時間目のチャイムが鳴って、起立の号令をかけた学級委員。
その号令に従ってみんなが立ち上がる…が。
バタンッ!
大きな音がした。
みんなの視線がそこに集まる。
あなただ。あなたが倒れたんだ。
クラスがざわついて隣にいたコニーはあなたに駆け寄って「熱っ!?先生!めっちゃ熱いです!」って叫んでた。
通路を挟んで2つ後ろにいる俺は、あなたのもとへ駆け寄る。
無意識だった。
あいにく、英語の先生は定年近いお婆さん。
「キルシュタイン君!あなた保健委員だったわよね?運べるかしら??」
ちょっと強く、また焦った声で俺に問う。
はいとは言ったものの、この脱力仕切った体をどう持ち上げたらいいのかわからず、俗に言う『お姫様抱っこ』であなたを抱えた。
そして急いで、でも振動をあなたに与えないように1階の保健室へ向かった。
こうゆう時に最上階のクラスは不利だなと思う。
まぁ、こんな状況になるなんてなかなかないのだけれども。
保健室についてベッドにあなたを寝かせた。
保健の先生、ハンジ先生が体温計を持ってきてあなたの脇に挟むと俺に話しかけてきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!