第57話

番外編~part2~
1,081
2020/06/27 08:44
ひどい雨…

あーあ。
陸斗にしてもらった髪は濡れてボサボサだし、服も濡れてびしょびしょだ。

でも別にどーでもいいか。

あ、このバス停って…

今バスをまちつつ雨やどりしているこの場所は、高校生の時、玲奈ちゃんにひどいことをされて帰ろうとした時に使ったのと同じところだった。

あの日も私、濡れてたな…

ここに陸斗が来てくれて…
ってもういいの、陸斗は。

陸斗は、もう……
桃(モモ)
いいわけない
桃(モモ)
なんで、なんで
目から雫が溢れ出していく。

何も考えたくないはずなのに、ずっと陸斗のこと考えてる。

いつから私こんなに好きになっちゃったのかな

バスが近づいて来るのが見えた。

よかった、泣いてるの雨のせいにできる。
顔見られても大丈夫。
それより一刻も早く帰りたい。
陸斗(リクト)
陸斗(リクト)
おい
陸斗(リクト)
陸斗(リクト)
こっちこい
桃(モモ)
なんでここに陸斗が…
陸斗(リクト)
陸斗(リクト)
いいから
意味が分かんないよ。
なんで陸斗がずぶ濡れなの。
なんで追いかけてきてるの。

なんで陸斗が来てくれて嬉しいとか思っちゃってるの

陸斗は何も言わず黙って私を車に乗せた。


プルルルルルル
陸斗(リクト)
陸斗(リクト)
はい
また電話、か…
陸斗(リクト)
陸斗(リクト)
予定変わった
今日パス
それだけ言って陸斗は電話をきった。

聞きたいことはいっぱいあるのに、聞けない。
だって陸斗の方が怒った顔してるから。

黙ったままつれていかれたのは旅館だった。
桃(モモ)
なんで、ここ……
陸斗(リクト)
陸斗(リクト)
お前がここ来たがってたんだろ
覚えてくれてるなんて…

あの、玲奈ちゃんに酷いことをされた日。
陸斗と両思いになれたあの日。

「あの旅館行きたいね」

そう私はいったのだ。
でも深い意味はなく、バスに乗って話題がなくて、何気なくいった一言だった。

だけど陸斗は
「あそこに行きたいのか。分かった。約束な」

小指まで出してきて、しっかりと指切りげんまんしてくれた。

「こんな約束しちゃっていいのー?
あそこ、高いらしーよ?笑」

「ふん、この俺様に何言ってんだ。
今すぐは無理でも働いたら金持ちなるにきまってんだろ。
お前を養えるぐらいにな」

「それってなんかプロポーズみたい笑笑」

そう私が言った途端目を見開いて顔をそむけて、ちょっと顔を赤らめていた。
その陸斗の表情が愛おしくて愛おしくて。

こんな思い出陸斗は忘れちゃってたかと思ってた。


1番良さそうなお部屋に案内してもらい、2人きりになった。
陸斗(リクト)
陸斗(リクト)
はぁ。俺がどれだけ心配したと思ってんだよ!
ビクッ

私の肩に手をおき、目の前で怒鳴る陸斗。
ビンタでもされるのかと思った次の瞬間
陸斗(リクト)
陸斗(リクト)
でも、本当に無事でよかった…
そう言って腰が抜けたように崩れ落ちた。

プリ小説オーディオドラマ