オヤツを食べながら、雑談タイムにはいった。
なんか、以外。まぁでも、好きな人くらいいるよね!
ん?何不機嫌になってるの?
まぁいいや、無視しよう。
陸斗、何で不機嫌なの?冬馬くんのこと、実は嫌いだったりして…。不思議だったけど、聞くのはやめた。
幼なじみっていってるし、私が首を突っ込むものではないって思ったから。
~6時半~
陸斗の家からは歩いて帰れる。
せいぜい30分程度。
15分位歩いたときのことだった。
どうしよう!とりに戻るべきか、帰るか。
とりに…戻りたいな。
プルルルルル…プルルルル…
お母さんかららしい。電話が終わると、乃愛は走って私のところにきた。
そういって、走って坂をのぼっていく。
空は薄暗くなってきてるし、不審者は怖いし。けど、乃愛を引きとめるのはさすがに迷惑だ。
乃愛が見えなくなったとこらへんで歩き始めた。
はぁ、疲れた。道、あってるよね?行きは昼で明るかったけど、今は夜。薄暗くてあまりしっかりと見ることが出来ない。
「んぐっ!!」
手をはなしてくれたのは、数分後だった。
見ると、そこにいるのは、若い男二人。
こちらを見てニヤニヤしている。
あきらかにこの人たちは怪しい。
正直怖いけど、冷静でいないと!!
不振がっていることがバレないように、極力普通にしているように見せかけることにした。
そういって、その場から走り去ろうとしたときだった。
私は男たちに体を捕まれ、車の中へと入れられそうになってしまっている。
力が強くて、抵抗できない。あらゆる手段を使うけど、逆効果になってしまった。
背中を蹴られ、中へと入れられそうになった、そのときだった。
えっ、?
男たちは、車にのって、さっそうと逃げていった。
また助けられてしまった。
いじめられそうになったとき、そして今回。
ちょっと!そんな少し照れた顔しないでよ!反則だよ!
また照れた顔をする。
えっ、今なんて?ボソッと呟いた言葉をガッツリと聞いてしまった。
瞬間、自分の顔がにやけてしまったのがわかる。ヤバい。なんでだろう。こんなドS男に、ドキドキしてしまっている自分がいる。
鼻で笑わないでよ!でも、頭をポンポンとされて、嬉しくなってしまう。
王子スマイルなのかもしれないけど、胸の鼓動が速くなってしまっている。
ドS王子が、照れた顔を見せたこと。なんか、嬉しくなってきて。
なーんて、こんな風に言い合っている時間が楽しい。
あれ?なんでだろう。こいつのことは嫌いなはずなのになぁ。
助けてもらったときだけ、いい人って思っちゃうらしい。あーあ、私って単純。
そういえば、このあとどうしよう~…。
すっかり忘れてた。
するとすごい良いタイミングで電話がきた。
そこから駅まで、喋っていった。
さっきまでのドキドキはどこへ行ったのやら。喋るだけでむかつく。
………でも、やっぱり楽しい。
私どうしちゃったのかな?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。