第4話

秘密の時間
194
2017/10/29 13:46
あれ以来、私はおかしい。
高杉くんが視界に入るだけで、
ドキドキしたり、ズキッてなったり、
気持ちがふわふわしたり…よくわからない感情。
今までにない感情。でも、嫌な感じじゃない。
むしろ、楽しいかもしれない。


今は授業中。
先生はカツカツと黒板に何か書いていて、
生徒は皆、静かにノートをとっている。
私はさっとノートをとり、
斜め前の席に座る高杉くんを盗み見る。

真っ正面から見るのは緊張しちゃうから無理だけど、
後ろからならいくらでも見れちゃう。
後ろっていっても正確にいうと、
ななめ後ろだけど(笑)
空を見てるのと同じくらい。
幸せな気持ちになる。
この気持ちは…なんなんだろうか。
高橋 千晃
(高杉くん、カッコイイなぁ)
ドキドキしながら、横顔の彼に見とれる。
色素の薄い髪はサラサラで、
外から入る光で髪が金に見える。
それがまたよく似合う。
高橋 千晃
(ほんっと髪の毛サラッサラだ…。
何のシャンプー使ってるんだろう?)
当たり前だけど、私は高杉くんのことを全然知らない。
分かっているのは、名前だけ。
高杉 日向。
どこか温かくて、優しいイメージな高杉くんにピッタリな名前だと思う。
いくら見ていても、飽きない。
むしろずっと見ていたい。

キャーキャー毎日騒いでる女子たちの気持ちが、
少し分かった気がする。

私、彼が気になる。
話したことないのに。
見た目が好き?目があったから一時的に気になってるだけ?
…こんな気持ち初めてだから、わからない。
これって、『恋』なのかなぁ。


毎日見てたい。
下向き加減とか、もう最高にカッコイイ。
ジャニーズに入れるんじゃない?ってくらい。
いや、スカウトされなきゃおかしなレベルじゃない?

でも、こんなカッコイイ人が隣にいたらおかしいよね。
私、可愛くないし、
髪の毛なんて天然パーマでボサボサだし。
いいところなんてないし。

その時、
先生
はい、じゃー残りは自習の時間ねー
先生が残りの時間は自習だと告げて教室を出ていった。
瞬間、高杉くんがふとこちらを向いてしまった。
二人の視線が重なりあう。
高橋 千晃
(ええ!?)
思いがけない事態に、動揺を隠しきれない私。

その時。
高杉 日向
(‥)
高橋 千晃
(??今、高杉くんの口が動いたような…)
高杉 日向
《な に が ん つ け て る の》
高橋 千晃
(ええ!?がんつけ…!?がんつけて!?はぁ!?!?)
少し笑いながら?"何ガンつけてるの"って口パク。
…ガンつけてるの、ってヤンキー?(笑)
はたまたヤンキーに憧れてんのかなぁ?
だとしたら面白い(笑)
高杉 日向
《ば か な こ と か ん が え て な い ?》
高橋 千晃
《か ん が え て ま せ ん》
高杉 日向
《か お に や け て る 》
高橋 千晃
え!?!うそ!?
私は思わず大声を出し、席を立ってしまった。
なんという失態…。
…どうしよう。絶対変に思われてるよ、、。

とりあえず、座ろう。

ゆっくり椅子にまた腰をかけると、皆の視線が痛い…。

そして…
斜め前で笑いをこらえてる奴がいることに気づいた。
高橋 千晃
………
高杉 日向
………クスクス
高橋 千晃
《あ ん た の せ い だ か ら ね!!》
そうだよ。もとはと言えば高杉くんが変なこというから!
高杉 日向
《わ、 ひ と の せ い に し たー》
♪キーンコーンカーンコーン♪
高杉くんと口パク話していると、
あっという間に時間が経っていたみたい。

もう授業が終わってしまった。

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