私は今、あの学園の王子様である高杉くんと帰っている。
ありえないこの状況。
嘘です、聞いてなかった…
やはり、嘘だとバレてしまいました。
高杉くんに嘘は通用しないみたいだ。
ていうか今…
ちーちゃんなんて、呼ばれたことなかった。
下の名前でさえ、呼ばれたことがなかった私にとっては
はじめての経験でなんだか嬉しくて少し泣きそうになった。
高杉くんの1番になりたくて…なんて言えない。
何でもいいから、高杉くんの特別でいたいから
高杉くん…じゃなくて。
ひなくんは、一瞬不思議そうな顔をして
やさしく微笑んでくれた
どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう?
何かあるんじゃ…??
ひなくんは、噂ではクールで爆笑したりするタイプじゃない。
どちらかというと、噂とは真逆な性格だ。
それから…
色々な世間話をしたりして、
結局、ひなくんは"女の子一人じゃ危ないよ"って。
家まで送ってくれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!