第14話

ポーカーフェイス
159
2017/10/29 02:46
高杉 日向
…なんで。それ、誰に言われたの?
そう言うひなくんの顔は、無表情だ。
高橋 千晃
誰でもいいでしょ
高杉 日向
…良くないよ。
俺ら友達だろ?友達には何でも相談していいんだよ
友達友達って、ひなくんは友達としか見てないだろうけど。
私は違うんだよ。
ひなくんのその優しさが私を余計傷つけるんだ…。
高橋 千晃
しないよ。なれてるから
私は自嘲的に笑った。
高杉 日向
なんで?怖くなかったの?強がりもいい加減に
高橋 千晃
怖くないよ
高杉 日向
……
高橋 千晃
あはは!ひなくんの顔ーっ!おもしろーい!
ひなくんは少し驚いた顔をしたが、
すぐにまた無表情に戻ってしまった。

泣いちゃいそうだ…だから、笑わなきゃ。
高杉 日向
…もういい。千晃と話しても意味がないってわかった。
あんなに無表情だったひなくんの顔は、
怒りに満ちていた。
高橋 千晃
そこまで怒る?何に対して怒ってるのか、
私、わかんないんだけどー?
高杉 日向
俺は、千晃のことが心配で話したいって思ってたのに
お前がそんなこと言うから
もう、我慢の限界だった
高橋 千晃
だからっ!
そーゆーひなくんの優しさが余計辛いの!!
わかんない!?
ひなくんは普通に友達として心配してくれてるのかもしれないけど、
私は優しくされる度に、辛くなるの!
さっき、他クラスの女子たちに"二度とひなくんに関わるな"って言われたの!
"あんたなんかいても誰も嬉しくない"って、
"消えて"って言われたの!!
次々と我慢していた気持ちが溢れ出す。
高杉 日向
そう…。そう最初から素直に言えばいいのに
さっきまで怒ってたのに、
今は笑ってるひなくんを見て
不思議に思った。
何笑ってるの??
高橋 千晃
ねぇ、私の話きいてたよね?
高杉 日向
うん、聞いてたよ?
俺に優しくしてほしくないってこと?
高橋 千晃
勘違いしちゃうから!!
高杉 日向
さっきからよくわかんないんだけど?
何を勘違いするの
高橋 千晃
…好きだから
高杉 日向
え?
高橋 千晃
好きなの!
私はひなくんが好きなの!!
だから優しくされると勘違いしちゃうの!!
高杉 日向
…へぇ
高橋 千晃
へぇ、って。
それだけ?ありがとう、とかないの?
高杉 日向
…千晃はさ、俺に何て言ってもらえば満足なの?
ひなくんはまた、無表情。
何を、考えてるのかわからないこの顔、
私は苦手なんだ。
高橋 千晃
……
何、どうして急にそんな冷たくなるの?
さっき、私が優しくしないでって言ったから?
だからってこんな冷たくする?
高杉 日向
もう帰るわ
高橋 千晃
え。ちょ、待ってよ!
私の声に、振りかえることもない。
不思議だね。女子に何されても何言われても平気なのに
頑張れるのに。
ひなくんに冷たくされるとなんだか泣きたくなってしまう。
高橋 千晃
ひなくん!!!!
もしかして、嫌いになった?
私、おかしいよ。 
さっきは優しくしないでって言ったのに
今度は冷たくしてほしくない、なんて。
言ってること、おかしいよ。

嫌いになってもらった方が楽だって思ってたのに、
今は嫌われたくないって思ってる。
高杉 日向
嫌い
高橋 千晃
…でも、私は好きだよ
自分が何をしたいのか分からない。
高杉 日向
もう助けないから
高橋 千晃
うん。助けなくていいよー
ひなくんの背中が、だんだん小さくなっていく。

助けなんていらないよ。
余計好きになってしまうから。

私、助けなんか期待してないから。

…そんなのもう、諦めてるから。

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