そう言うひなくんの顔は、無表情だ。
友達友達って、ひなくんは友達としか見てないだろうけど。
私は違うんだよ。
ひなくんのその優しさが私を余計傷つけるんだ…。
私は自嘲的に笑った。
ひなくんは少し驚いた顔をしたが、
すぐにまた無表情に戻ってしまった。
泣いちゃいそうだ…だから、笑わなきゃ。
あんなに無表情だったひなくんの顔は、
怒りに満ちていた。
もう、我慢の限界だった
次々と我慢していた気持ちが溢れ出す。
さっきまで怒ってたのに、
今は笑ってるひなくんを見て
不思議に思った。
何笑ってるの??
ひなくんはまた、無表情。
何を、考えてるのかわからないこの顔、
私は苦手なんだ。
何、どうして急にそんな冷たくなるの?
さっき、私が優しくしないでって言ったから?
だからってこんな冷たくする?
私の声に、振りかえることもない。
不思議だね。女子に何されても何言われても平気なのに
頑張れるのに。
ひなくんに冷たくされるとなんだか泣きたくなってしまう。
私、おかしいよ。
さっきは優しくしないでって言ったのに
今度は冷たくしてほしくない、なんて。
言ってること、おかしいよ。
嫌いになってもらった方が楽だって思ってたのに、
今は嫌われたくないって思ってる。
自分が何をしたいのか分からない。
ひなくんの背中が、だんだん小さくなっていく。
助けなんていらないよ。
余計好きになってしまうから。
私、助けなんか期待してないから。
…そんなのもう、諦めてるから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!