夜は近くのホテルにお泊まり。
私はもちろん、愛たちと同じ部屋。
今は深夜の3時です。
なぜこんな時間に起きているのかというと、
ただ、眠れないからです。
愛たちはぐーすか寝ている。
消灯時間だし、先生も寝ているだろう。
深夜だから、誰もいない。
空を見ると、銀色に煌めく月が見えた。
夜なのか、朝なのか、判断つかない空。
自販機ないかなーと、
周りをキョロキョロしていると…
少し遠くから歩いてくる人影が見えた。
息を飲む。
部屋着なのか、全身ジャージ姿。
制服しか見たことがないから、
いつもと違う、私服姿のひなくんにドキドキする。
思いきって話しかけてみた
ひなくんは少し怪訝そうな表情を浮かべた
何言ってるんだ、私。
完全に、自虐行為。
身長150㎝しかない私。
それに比べ、ひなくんは170㎝はあるだろう。
おまけにモデルみたいにシュッとした体型なんだ。
異性なのに、なぜか少し嫉妬してしまう。
歩いていける距離にコンビニがあったはず。
少しでもひなくんと話したい私はそう提案した。
でしょーねぇ。
答えはNOだと分かって聞いている私。
そんなことでへこたれないんだから!!
私は嫌がるひなくんの腕を無理やり引っ張って
全力疾走した。
数分後…。
やっと、…着いた。
普段、あまり運動をしない。
おまけに運動神経が悪い私は、
少し走っただけでもう息があがってしまう。
一方、ひなくんは全く疲れていないよう。
さすが…。
そう言うひなくんを無視して、
私はコンビニに入っていく。
来るのを嫌がっていたはずのひなくんは、
私の後ろをついてきている。
素直じゃないのはどっちよ。
ちゃっかりついてきてんじゃない。
丁度喉渇いてたところだし♪と
店頭に並んでいるジュースを指差した
そのペットボトルには何かストラップがくっついている。
携帯につけるストラップだろう。
でも、このストラップはないなぁ…と思う。
だって、キン肉マン、だもん。
しかもちょっと不細工な(笑)
私は、店頭に並んでいたそのペットボトルをドサドサと買い物かごに入れた。
おそらく、キン肉マンファン以外には、
喜ばれないであろうオマケ。
ひなくんのことは無視して、レジに並び会計を済ませた。
コンビニを出た後、
ひなくんにキン肉マンのストラップ付きペットボトルを渡す。
無表情のひなくんは、相変わらず何を考えているのかわからない。
そう言うひなくんの手に無理やりペットボトルを握らす。
渋々、受け取ったひなくんはうつむいていて、
どんな表情をしているのかわからない。
ひなくんの冷たい目に思わずごめん、って言いそうになる。
けど、頑張るって決めたから。
私は、負けない。
確かに言った。
でも、その後にひなくんが、
"俺たち友達だろ?"って言ってくれたことを覚えてる。
私が冷たく突き放した後にも、
ひなくんは優しく接してくれていた。
そう、私が好きだと言うまでは。
あ。今、一瞬だけひなくんが、
泣きそうな悲しそうな表情をした。
なんで?どうしてそんな苦しそうな顔をするの
私はさっき買ったペットボトルを手にとった。
ひなくんは無言でそのペットボトルを受け取ってくれた
そう、困った顔でお礼を言われた。
予想外過ぎてビックリ。
なんとなく、ひなくんが少し笑った気がした。
その後…。
少し話しているうちに、ホテルに到着してしまい、
私とひなくんは、別れて自分たちの部屋に戻った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。