宇宙は少し強がったように笑った。
そして頬を伝う私の涙を宇宙はそっと拭ってくれる。
ありがとう…宇宙。
ごめんね…宇宙にはもらってばかりで
何もあげられなかったよね…。
いつも、どんな時でも私の背中を押してくれる…
宇宙、ホントにありがとう。 そして、ごめんなさい。
私は宇宙をその場に残し、走り出した。
ひなくんが好き。
ひなくんに…会いたい。
会って色んな話が聞きたい。
話したいことだってたくさん…たっくさんある。
まだ伝えてないことも。
また辛い思いをすることになるかもしれない。
そうだとしても、私のこの想いは変わらないから。
私はやっぱり結局、あなたに恋をするんだ…。
勢いで走ってきてしまったけど…
いったいどこに向かって走ってたのか…(笑)
走ったところで、ひなくんに会えるわけじゃないのに…
さっとポケットから携帯を出す。
まだ返信してないひなくんのメールを凝視する。
久しぶりのメールに少し戸惑う。
(千晃)
「返信遅れてごめんなさい。
久しぶりだね。元気?私は元気だよ。
私も、ひなくんに会いたいです」
何度も読み返し、誤字脱字がないかチェックをする。
久しぶりに感じるくすぐったい感覚。
懐かしい、、。
数分後…。
(日向)
「久しぶり。まぁまぁかな?(笑)
じゃあ、来週の土曜、会える?
話したいことある」
(千晃)
「了解!じゃあ2時にまたあの遊園地でいい?」
(日向)
「りょーかい!」
2年ぶりに話してるのに、
そんな感じ全然しないってあるいみすごい気がする(笑)
ねぇ、ひなくん。
少しだけ期待しちゃってもいいかな?
会いたい、なんて…
好きな人に言われたら誰だって期待してしまうよ。
ふと、さっきの宇宙の強がりな笑顔が頭に浮かぶ。
宇宙は優しい。私はその宇宙の優しさを利用して、
結局宇宙を傷つけるだけ傷つけてしまった。
宇宙を傷つけてまでも自分が幸せになろうとしている、
今の私は、ずるいのだろうか…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。