家に着くと、ひなくんは私の手を引き、
奥の部屋へと歩いていった。

部屋の第一印象は…生活感がないシンプルな部屋。


テレビ、洗濯機、机、ベッド、冷蔵庫など…
生活に必要なものしか置かれていない。

私の部屋とは大違い。
でもなぜか、凄く居心地が良い。

キッチンにはずらーっと調味料が並んでいて
冷蔵庫の中はぎっしり材料でつめられている。

だとしたら全くウケなかったんですけど…(笑)

あ、今の嘘だ。
最近なんとなくだけど少しだけひなくんのことが分かるようになってきた気がする。
今だって嘘ついたってひなくんの顔見てわかった。
なんだかちょっぴり嬉しい。

堪えきれなくて私は笑った。
ううん、大笑いしてしまった(笑)
ひなくんはウケ狙いで言ったんだと思う、
で、ウケなかったからちょっとしょんぼりしちゃってるひなくんを見たら笑いがおさえられなくて。

"色気ない"って好きな人に言われたら結構落ち込むなぁ。まぁホントの事だからしょうがないんだけど

ひなくんがいきなりコチョコチョをしてきて
思わず叫ぶ。
私はコチョコチョが大の苦手なのだ…

そういいながらひなくんにコチョコチョをしてみた。が…ひなくんはびくともしない。

なんてこった…
世の中にはコチョコチョがきかない人もいるのか！？
じゃあ、やり返しできないじゃん…！！

私がムスーっとしているとひなくんが少し微笑んだ。
その顔に思わずドキッとする。
ひなくんは私の隣で立て膝をして座っている。
その仕草までもがもう
くそーっ。カッコイイなぁ。と思えてしまう私はひなくんバカかもしれない(笑)

こんな可愛い顔をされたら何でも許してしまいそうだ…。

私は思っていることを口に出してしまったみたいで…

ひなくんは真顔で私を見つめている。
当たり前だ、カッコイイなんて言ってしまったんだから…。なんとかしてごまかさなきゃ！！

ひなくんのいきなり発言に私はびっくりしすぎて飲んでいたココアをこぼしてしまい、
私の着ている服はビショビショになってしまった。

不意打ちは、ないわぁ

"風呂"という単語に顔が熱くなるのを感じる。
お風呂上がりの姿見せるとか嫌すぎる…

今の言葉…ひなくんが言ったんだよね…？
なんか同一人物に思えない発言だった気が…

そういうもんなのか…。 
レディーファースト的な…？
よくわからないけどとりあえず私はお風呂に向かった。