三日月said
ポツポツと雨が降っている。
小狐丸は朝早くから出陣へと行ってしまったので、暇で暇でしょうがなかった。
仲の良い者達も偶然か皆遠征へと行ってしまった。
本当の暇人になってしまっていた。
コンコン…
「失礼致します。」
そう行ってきたのは粟田口派の平野藤四郎だった。
「うむ、なんだ?」
平野は障子の所から離れずいた。
用というのは、多分短いものなのだと思った。
「あ、お茶でもいかがですか?鶯丸様が遠征に行かれてしまったので…」
平野は急須とお茶碗を置いてあるお盆をこちらへどうぞ見せた。
隣には茶菓子かなにかの包みがあった。
「うむ、頂こうか。平野そんな所にいないでもっと近こうよれ。」
「あ、ありがとうございます!!」
平野はペコリと頭を下げ俺の部屋に入る。
平野とポツポツと話しをしているといつの間にか雨はやんでいた。
外からはキャキャと声がする。
「あ、三日月さーん!」
そう手を降られたのは、鯰尾藤四郎だった。
振り返して、平野を見た。
「平野、外で兄弟達と…おぉ、寝てしまったか。」
最初はつまらなくいたのがだんだんと心の底から高笑いがしたくなった。
「はっはっはっはっは、よきかなよきかな。」
早く小狐丸が帰ってくるのを期待していた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!