「どういうこと?」
『わかんない。お母さんが玉森引っ越すって...』
「...ああ、それね、家の水道が壊れちゃって母さんの実家に戻ることになっただけ。土曜と日曜の2日間。」
衝撃すぎて言葉が出ない。
...とりあえずは喜んでいいんだよね?
『あああ、なんだ、よかった...』
今まで引きつってたほっぺたが緩んだ。
「...んで、話したいことってそれだけ?」
見下すように私を見る玉森に怖気ついた。
『...え、っと、あのー、』
なにを言うのか何を伝えたいのかがごっちゃになった。
だけど今このまま逃げても変わらない気がするし、
もう、素直になる?
よし、腹を括った。
生唾を飲み込んでいざ言おうとした時。
「ねえ、俺の都合いいように勘違いしていい?」
『...え?』
玉森に告白を遮られた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。