プリ小説

第6話

出会い~影龍 ⅰ~
どれくらい走ったのだろう。

車が停車したのは人通りがあまり無い街の廃ビル。
西園寺 時雨(サイオンジ シグレ)
西園寺 時雨(サイオンジ シグレ)
着いたよ。
扉を開けてもらい、車を降りる。
成弥さんと不知火さんは当たり前の様に中に入って行く。


え、この中に入るの?
怖い。
西園寺 時雨(サイオンジ シグレ)
西園寺 時雨(サイオンジ シグレ)
大丈夫だよ。
何もしないから。
私の顔を覗き込んだ西園寺さんは強ばった顔を見るなり、そう笑った。
桜惟 黎(サクライ レイ)
桜惟 黎(サクライ レイ)
えっと…
中に入ろうか迷っていると、成弥さんが振り返り、車の所で立ち止まったままの私と目が合った。
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
何してんだ!
来い!!
そう叫んだ声に恐怖を感じ、言う事を聞きうとしたのか足が進んだ。

成弥さんの少し後ろを、歩く。
座っていたから気づかなかったけど背が高いな。
大きな背中を見つめていた。


いつの間にか、西園寺さんがいなくなり、車も無かった。
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
西園寺さんは車を裏の駐車場に止めに行った。
すぐに戻る。
キョロキョロする私に気づいたのか、そう教えてくれた。
桜惟 黎(サクライ レイ)
桜惟 黎(サクライ レイ)
そう…ですか。
私は小さく呟いた。
少しホッとした。
中に入ると、広い部屋の中央に階段があり、囲むように古びた扉があった。
廃ホテルだろうか。

不知火さん、成弥さん、私の順に進み後を追う。
階段を上って行くのでただ追いかけるように上る足。
不知火さんは2階に着くと左角の部屋の扉を慣れた手つきで開けた。


キーッと音が鳴る。


続けて成弥さんが入るかと思いきや、扉を押さえて私に先に入るように促された。
桜惟 黎(サクライ レイ)
桜惟 黎(サクライ レイ)
あ…はい。
中に入ると、タバコの匂いに息が詰まる。
だだっ広い広間に20人程の若者がいた。

右端にはステージのようなものがあり、タバコを吸う制服を着た2人が腰掛けていた。

左奥にはビリヤードが置いてあり、手前には机と椅子が乱雑に並べられていた。

そこにいる人達は皆他校の気崩された制服を着用し、様々な色の髪、耳には複数のピアス、指輪にネックレスと、別世界にいる様な感覚だった。
阿泉 叶空(アイズミ カナタ)
阿泉 叶空(アイズミ カナタ)
あ、そうくんおかえりぃ!!!
私とあまり変わらなさそうな小柄な男の子が成弥さんに気づくと笑って走り寄ってきていきなり抱きついた。
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
ただいま。
叶空カナタ
嫌がる様子もなく、弟を見るような優しい目をしながら胸あたりに来る頭を、撫でた。
叶空と呼ばれたその男の子も頭をすりすりした。


こんな目もできるんだ。
その優しい目に心臓が跳ねる感覚があった。
『お疲れ様です!!!!!!』
タバコを吸ったりビリヤードをしたりしていた人達が突然大きな声で成弥さんに挨拶をした。
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
ああ。
え、それだけ???

成弥さんは歩き出し、私は自然と追いかけた。
叶空くんは成弥さんと並び、楽しそうに話しかける。
私の後ろを不知火さんが歩いている。
成弥さんが向かったのは左端にある、扉。
ガチャリと開けるとそこは廃ビルには似つかわしくない芳香剤の香りとオシャレな部屋。


1番奥にはL字ソファ。その前にガラスのテーブル。
右端には大きなテレビがあった。
テレビの手前にはもう1つ扉があって、左手前にはトイレという札が掛けられた扉。
そして1番気になるのが、入ってすぐ目に付いた奥の壁に大きく飾られた"影龍"と文字がある布。
グレーの地に黒の筆書きの様な書体で、文字に巻き付くように黒っぽい紫の龍が巻きついてる。
影龍…私は見つめてしまっていた。
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
早く座れ。
気がつくと皆ソファやカーペットに座っていた。

私も慌てて出入口脇の床に座った。
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
こっちに来い。
隣に座る様に言われ、私は一瞬固まってしまった。
阿泉 叶空(アイズミ カナタ)
阿泉 叶空(アイズミ カナタ)
そうだよ。
こっち来て!黎ちゃん!
叶空くんが笑顔で呼ぶ。
桜惟 黎(サクライ レイ)
桜惟 黎(サクライ レイ)
なんで…私の名前…
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
成弥 蒼夜(ナルミ ソウヤ)
そんなこといいからこっちに来い。
キッと睨む成弥さんの目に私はおずおずと隣に座った。
――――ガチャッ

扉が開き、入ってきたのは銀髪にメガネの私の学校の制服を着た男と西園寺さん。
西園寺さんの顔を見ると少しホッてした気分になる。
蘭 唯斗(アララギ ユイト)
蘭 唯斗(アララギ ユイト)
あ、着いてたか。
私にニコリと微笑んだ。

この人の笑顔……怖い。
20畳無いくらいの広い部屋で
成弥さんを囲むように丸く座った。

目の前には銀髪にメガネの怖い笑顔の人。
隣には成弥さんと叶空さん。

逃げられるわけない……か。

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Shiryu.
Shiryu.
まだ日が浅いので、編集の仕方がわかっていない部分があります(๑ ˊ͈ ᐞ ˋ͈ )ƅ̋ よければ気長に読んでいただけたら嬉しいです(✿︎´ ꒳ ` )♡︎ 育児中の為、更新が遅い場合があります。 ご了承ください。m(_ _)m