次の日の朝、私はいつもの時間より少し早めに出た。
何故なら…
マンションの下で皆が待ってるからだ。
昨日はあの後、これからの生活についての話をされ、西園寺さんの車でマンションまで送ってもらった。
え…
凄い剣幕で無視された。
二重人格…。
あれ?
舌打ちと言えば…
え、朝からバイト…?
想像できるかもしれない…。
学校が近づいてくると、女子生徒がだんだん集まって来るようになった。
『影龍様達よ!!』
有名だったの…?
私が知らないだけ??
運の悪い事に前の方から弥宵が走って来る。
ちょうど門の所で弥宵とぶつかってしまった。
影龍に囲まれている私を見て心配そうな顔をする。
私は教室に向かおうと足を進めた。
なにか聞こえた気がして振り向くと、弥宵は何かに驚いていた。
弥宵は青ざめた顔を下にして、私の隣に並んだ。
弥宵は笑顔で首を振った。
気のせいかな。
この時の私は何を見ていたんだろう。
弥宵は大切な友達なのに…
何も見えていなかった。
弥宵の事を何も…―――
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!