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第1話

転校
22,647
2019/12/27 04:35
公立、聖蘭せいらん高校。

転校先のそこは、急な坂の上にあること以外は普通の高校だった。

迫田さこたあなたです。よろしくお願いします」

軽くお辞儀をすれば、形だけの拍手が起きる。

……ま、高校なんてどこもこんなもんだよね。昔は結構夢見てたけど、いざ通ってみると単にだるいだけ。

「それでは迫田さん、あの席に座ってください」

「はい」

担任が指差したのは窓際の一番後ろの席だった。

スタスタと歩いてその席に座った時、隣から声をかけられた。

「ねぇ、迫田さん!どこから来たの?」

右を向くと、少し茶色みのある黒髪を後ろで一つに束ねた女子と目が合った。

「は?」

「あ、由麻ゆまね、春田はるた由麻!湖崎こさき中出身だよ」

湖崎中……知らないな。当たり前か、私この前引っ越してきたばっかだし。

適当に笑顔を作って、最初にされた質問に答える。

「隣の県から来たよ。親の都合で引っ越してきたんだ」

うわ、この口調気持ち悪っ!でも何事もなく高校生活を送るためには重要。耐えろ自分。

「そうなんだ!大変だねー」

「別に普通だよ」

笑顔笑顔……。あーめんどくさ。



ーーーーーーーーー



そうして春田さんとの会話を必要最小限にとどめ、SHRが終わった。

ねっむ……友達とかいいからもう寝とこ。

「ねぇねぇ、見て廊下!超ラッキーじゃない!?」

「ホントだ!朝から見れるとかやばっ……!」

不意にそんな話し声が聞こえてきて、私は机に伏せるのをやめて廊下を見た。

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