笑いが収まると無表情に戻り、返信した。
その文を見た時、オレは気付いた。
遼介がなんとなく不機嫌だ。
理由はすぐに察しがついた。わかりやすい……と無表情で思った。
「……いい人なのにね」
“自信”は『自分』を守る最大の術だ。遼介も、過去にいろいろ苦労してきた。
あなたも、イケメン絡みで何かあったみたいで。
……どうしてこう複雑になるのかな。
右手をグッドの形にして前に突き出している白猫のスタンプを押して、オレは背後のベッドに寄りかかった。
画面を落としたスマホが手の中でバイブした。
「質問」の内容が簡単に想像できてしまったオレは、そのメッセージに笑い――静かに目を伏せた。
そして、親指だけを動かして返信を打った。
それに対して、遼介からスタンプが送られてきた。
黒髪の男子が「それでいい」と上から目線に言っているスタンプだった。
去年、遼介の誕生日にオレがからかい半分、いや9割以上からかいでプレゼントした『りょうくんのスタンプ』である。
『りょうくん』が遼介とマッチしすぎているので使いやすいのだろう、よく使ってくれている。オレはプレゼントしてよかったな、と思った。
ーーーーーーーーー
初めての怜サイド。
ちょっとズレた思考を持つ怜なので、読者の方々からすると「ん?」と思うところもあるかもしれませんが、それが彼です。そういうことです。笑
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。