「……ありがとう。できたら、やってみるね」
由麻は自信なさげに笑った。
よくわかっていないようなみうが首を傾げるのが視界の端に映ったが、説明が面倒くさいので放置。
「えーっと、とりま今日はあたしら三人で回るってことでOK?」
「うん」
「うん!」
みうに私と由麻は頷いてみせた。
多分明日も三人だろうけど。由麻があの人を誘えなかったら。
「告白大会って今日?」
「そうだよ。今日だけだよ」
「んで、明日はカラオケ大会だよねー。今年からの初企画らしいけど、人集まったのかな」
「へぇ」
どうでもいいけど、大会好きだなこの高校。
別に大会じゃなくても――と、無意識にあの文化祭の企画を思い出しかけている自分に気付き、私は思考を停止させて小さく息を吐いた。
考えないようにしてたのに。嫌でも浮かんでくる、映像。再生されるあのシーン。
心が、後悔で埋め尽くされる。
「三年生、全クラス食べ物なんだよね!中学校はダメだったから楽しみだなぁ」
「お、由麻初めてか!あなたも?」
「私は……経験ある」
「そか!まぁ、楽しもう!三人で!」
みうが満面の笑みで言った。
……「三人で」か。
「いいね」
静かに微笑んで私は呟いた。
二人となら、“あのこと”を忘れて楽しめる。そんな気がしていた。
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前回の話、ミスを見つけまして修正しました……。動画系出し物の権利を勝ち取ったのは4組です。すみませんでしたm(_ _)m
あと、気付けば700いいね突破してました!ありがとうございます……!!
まだもう少し続くこの作品を、どうか完結までよろしくお願い致します!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!